第ゼロ章「愛しき人」 ページ1
何もない部屋にポツンと
─────目を閉じると蘇る過去の記憶。
一つの町は壊滅状態。
生き残っている人々はある少年少女を見ると悲鳴を上げて逃げて行く。
幼き少年少女は悟った。
あぁ、恐れられているのはあの化け物ではなく……
“私なんだ”
“ボクなんだ”
燃え上がる炎が二人を囲む。
「生きてちゃいけないみたいだね」
「そうみたいだな」
少年少女は手を取り合い、そして笑い合った。
その場に似つかない眩しい笑顔と共に、
少女は刀を持ち、少年は落ちていたナイフを持った。
「死ぬ時は……」
「一緒だ」
そして少年少女は抱きしめ合い、
少女は腰を、
少年は背中に、
二人に痛みはなかった。
刺される痛みより、心の痛みの方が大きかったから。
二人はパタリと音を立てて倒れる。
最後まで二人は離れず息を引き取る。
─────ハズだった。
二人が倒れ一時間くらいが経った時一人の男が現れた。
二人の前に立ち、男は見下ろす。
「男はダメか。女の方はまだ息があるな」
そう判断した男は、少女を抱き去って行った。
赤毛、長髪。そして……片方だけの仮面を付けた男。
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作者名:メイリュー | 作成日時:2023年7月25日 1時