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「随分懐かしいこと思い出すじゃん」
「空の高さがよく似てたからかなぁ」
「チョンソル元気？」
「うん。ドーム来てくれたんだよ、あの後電話した。いつも通り綺麗だったって言うんだ、いつの間にあんなプレイボーイになったの？ 僕ったら照れて声出なかった」
「お前が言う？ つか、マジかあいつ……」
中国語では花花公子だっけ、最近できた中国出身の友達を思い出しながら呟く。
どこかを見ながら眉を顰めたグガに気づいて、くい、と手を引いてみると、何、低い声で返ってくる。
「どうしたの？」
「……別に。俺腹減った」
グガはあの日からよく手を繋いでくれる。他のメンバーがいない時ばっかりだけど、僕的には結構嬉しい。
丸くて大きな目と、絵に描いたような鼻、ちょっと可愛い口元、どれも間近で見られるこの位置が僕は好き。
じっと見てるとあっち向けって肩をどつかれる。
ちょっと痛い。でも手は繋いでるんだ、安心する。
「ねぇ、グガ」
「なんだよ」
「僕ら、ドームツアーしてるんだねぇ」
「そうだな」
「ガンダムの近くで踊った日のこと覚えてる？ 僕お台場大好きだから変にテンション高くて、たくさん喋っちゃって」
「べらぼうに日本語うまいしな。一人だけ」
「凄く幸せだった。あの日の僕にはあそこが頂点だった。でも、ドームの天井は青空より高く見えた」
網目模様の真っ白な天井。外に出る時気圧の関係で風がブワッて強く自分を押し出した子供の頃。本当不思議だ、関係者入り口なんてくぐる日が来ると思わなかった。
「ゆりかもめに乗って、芝浦ふ頭のあとはぐるって一回転するの。今度一緒に乗ろう？ 台場駅で降りてあそこでまた写真撮ろう。ああ、やりたいことばっかり」
「……いいよ、なんでも付き合ってやる」珍しいこと言うから、僕はきょとんとしてしまった。「だからちゃんと、怪我しないで歌いきって踊りきって、泣くんだ」
「な、泣くんだって、泣き虫なおせって言ったの君だろ」
「Aの涙は綺麗だから」
もう、どうしてこうも綺麗綺麗言ってくるんだ。
自分の容姿を卑下する気はないけれど、漏れ出すオーラとかそういうものが足りてなさすぎるだろ僕。
グガは遠い、どこかのペンライトを見つめて言う。
「高みに来たからこそ、届かない場所を知ったんだ。でかい会場の隅から隅まで手振って、Bluetoothの魔法で世界繋げばいい」
芸術は世界を繋ぐ。
僕らが今それを口にしても、それは決して過言じゃない。
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触 - 性被害後の処理の方向が驚きでした。完結までもっていってくださりありがとうございます。お疲れ様でした。 (2021年8月5日 3時) (
レス) id: 95434f44d3 (このIDを非表示/違反報告)
ぼく(プロフ) - 虞犯少年さん» リクエストさせて頂けて光栄です、新しい作品の方も毎日毎分まだかまだかと更新楽しみにしております(笑) (2019年1月3日 16時) (レス) id: a099ebec59 (このIDを非表示/違反報告)
虞犯少年(プロフ) - 猫わかめさん» そんな素敵な言葉をいただける作品を書けたことを嬉しく思います。読んで下さりありがとうございました。 (2019年1月3日 14時) (レス) id: 3f60c9b07f (このIDを非表示/違反報告)
猫わかめ - 感動しました。次へ、次へと、手が止まりませんでした。素敵な小説をありがとう。そして、完結お疲れ様でした (2018年12月31日 17時) (レス) id: abf16c0298 (このIDを非表示/違反報告)
虞犯少年(プロフ) - ぼくさん» ありがとうございます。まさにそう思われる作品を目指していたので、本当に嬉しいお言葉です。いいですね、短編でやってみたいです。 (2018年12月29日 14時) (レス) id: 3f60c9b07f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：虞犯少年 | 作成日時：2017年10月7日 22時
