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できないことの方が多い。
高校入学が一年遅れそうだ、という話を小耳に挟んでいた俺は少し気がかりだった。
卒業が解決ならばそれ自体は叶うだろう。
しかしAにとっての新天地は一年遅れてやってくるのだ。
だったら在学中にケリをつけるべき、だと俺は思った。
ヒョン達もそれを理解していたらしい。
できないことの方が多いことは、承知で。
「先生方に任せるのが一番だと思うんだけどな、Aが望まないんだよねそれを」ジニヒョンは呆れ気味だ。
「直接ぶん殴りますか」俺の口から出ていた。物騒だな、と他人事のように思う。
「物騒だな」ナムジュニヒョンが笑う。「勝手に何かするのはよくない。先にAを説得するべきだ」
「できます？ それ」
テヒョンイヒョンは自分なりに言葉をかけた結果実力行使に至った訳だから、無意味だと思っているらしかった。
俺もテヒョンイヒョン側だ。どうせ、何もしない。
「吐いたことに関する罪悪感が強かったんだろう、さっきは。少し経って落ち着いたらまた話ができると思う。……吐くくらいだ、決定的な被害を受けたに違いない」
決定的な被害が何なのかを想像してしまって、憤りに歯軋りする。本人の口からそれが事実だと認められたら俺はどうするのだろう。
綺麗なものが好きだと笑うAが綺麗だと思った。
綺麗なものは守りたい。
誰だってそうだろ？
なんで傷つけようとするんだ。
「手、痛めるよ」
ハッとして顔を上げるとホビヒョンが俺の手を握っていた。爪が皮膚に食い込んで白くなっていた自分の手を、見つめる。
「最近仲よかったもんね、二人」
「……はい、でも、その程度で」
「Aね」ホビヒョンはホビヒョンらしく笑顔でいた。ゆっくり呼吸をしていて、と、暗に示すように。「ジョングガと過ごすのが楽しいって、早練の時よく言ってたよ。僕を引っ張ってくれて頼りになる、憧れだって」
「……」
「あの子はみんなを愛してくれる優しい子だけど、グガは特別だったんだと思うよ。俺には立ち入れない場所にも、グガは踏み入れると思う」
「俺が……」
「うん。だから、自分に自信持ってそばにいてあげてほしい。多分俺にはできないからさ！」
花がパッと咲くように笑う姿に、憑き物が落ちた気がした。
そうか、俺はAのそばにいていいんだ。
そばに、できれば隣に、いつでも手を取れる場所に。
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触 - 性被害後の処理の方向が驚きでした。完結までもっていってくださりありがとうございます。お疲れ様でした。 (2021年8月5日 3時) (
レス) id: 95434f44d3 (このIDを非表示/違反報告)
ぼく(プロフ) - 虞犯少年さん» リクエストさせて頂けて光栄です、新しい作品の方も毎日毎分まだかまだかと更新楽しみにしております(笑) (2019年1月3日 16時) (レス) id: a099ebec59 (このIDを非表示/違反報告)
虞犯少年(プロフ) - 猫わかめさん» そんな素敵な言葉をいただける作品を書けたことを嬉しく思います。読んで下さりありがとうございました。 (2019年1月3日 14時) (レス) id: 3f60c9b07f (このIDを非表示/違反報告)
猫わかめ - 感動しました。次へ、次へと、手が止まりませんでした。素敵な小説をありがとう。そして、完結お疲れ様でした (2018年12月31日 17時) (レス) id: abf16c0298 (このIDを非表示/違反報告)
虞犯少年(プロフ) - ぼくさん» ありがとうございます。まさにそう思われる作品を目指していたので、本当に嬉しいお言葉です。いいですね、短編でやってみたいです。 (2018年12月29日 14時) (レス) id: 3f60c9b07f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：虞犯少年 | 作成日時：2017年10月7日 22時
