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「聞いても答えないから」指先でAの唇を撫でた。Aはその持ち主を探すように指先から相手の顔へと視線を動かして、少し落ち着いたのか大人しくなる。「襲った」

「……吐くほどストレス溜まってた人にすることじゃないだろ!」ジミニヒョンの怒りは収まらない。

「今日吐いたからってAは学校に行くだろうし、加害者を拒否もしないでしょ。壊れきる前に聞き出さなきゃじゃん」


言ってることがわかったのだろう、ジミニヒョンは納得と呆れを同時に感じて胸ぐらを掴む手を離した。
テヒョンイヒョンは解放されるや否やAを抱き締める。

Aは息が止まってしまったような顔をし、細い息で「テヒョンイヒョン」と呼ぶ。


「ん、おれだよ」

「僕、へいきですから、ごめんなさい、気遣わせて」

「……は?」

「ヒョン、ユンギヒョンもごめんなさい。汚いもの、掃除させました。僕ほんとうに使えない」


ぼろ、でかい涙が溢れた。

Aはおかしい。

テヒョンイヒョンは言葉を失った。自分が加害者となる前提で、咎められることを承知で行動したのになぜか自分が謝罪されている。

壁に手をついてAは立ち、「一人で入ります」と言うとそのまま風呂場に消えていく。

頭が追いつかない。


「おれもシャワー浴びたいんだけどなー」

「……何かわかった?」後ろから見ていたジニヒョンが問いかける。

「されてると思いますよ、ごーかん」先ほどまで一切無かった怒りの雰囲気が漏れ出す。「どこまでされたかは知りませんけど。ワンチャン最後までかも」

「……」絶句だ。誰も声なんて出ない。

「傷すごいし、キスマと縛り痕、絞め痕もあったな。腰のあたり痣めっちゃですよ。全部見る前にジミナ来たから詳しくはわかんない」

「怖がらせちゃダメでしょ」自分の行動を咎められる所以はさらさらないぞ、といった風にジミニヒョンは唇を尖らす。

「手から出したわけじゃない。なんかあったんでしょって聞いたけど何もないしか言わないからもうダメだなーって。まぁそりゃいいことしたわけじゃないのはわかるけど? 最終手段だよ、当たり前でしょ」


シャワーが流れる音が静かに響く。


「どうする?」


テヒョンイヒョンは大きな瞳に皆を映した。

俺たちは反応できなくて、どうする? ってなんだ? と固まる。


「Aと、加害者を、どうする?」


一人の問題はみんなで解決するのが防弾少年団だろう。

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- 性被害後の処理の方向が驚きでした。完結までもっていってくださりありがとうございます。お疲れ様でした。 (2021年8月5日 3時) (レス) id: 95434f44d3 (このIDを非表示/違反報告)
ぼく(プロフ) - 虞犯少年さん» リクエストさせて頂けて光栄です、新しい作品の方も毎日毎分まだかまだかと更新楽しみにしております(笑) (2019年1月3日 16時) (レス) id: a099ebec59 (このIDを非表示/違反報告)
虞犯少年(プロフ) - 猫わかめさん» そんな素敵な言葉をいただける作品を書けたことを嬉しく思います。読んで下さりありがとうございました。 (2019年1月3日 14時) (レス) id: 3f60c9b07f (このIDを非表示/違反報告)
猫わかめ - 感動しました。次へ、次へと、手が止まりませんでした。素敵な小説をありがとう。そして、完結お疲れ様でした (2018年12月31日 17時) (レス) id: abf16c0298 (このIDを非表示/違反報告)
虞犯少年(プロフ) - ぼくさん» ありがとうございます。まさにそう思われる作品を目指していたので、本当に嬉しいお言葉です。いいですね、短編でやってみたいです。 (2018年12月29日 14時) (レス) id: 3f60c9b07f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:虞犯少年 | 作成日時:2017年10月7日 22時

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