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「まぁ」ミルクを注ぎジニヒョンは言う。「察しはつくけど。お前は答え合わせも嫌いでしょ？ 丸バツじゃなくて、点数制でもしてくれない？」
「……ヒョンは頭がいいから」
「満点の回答なんてできないよ。勿論誰にも言わないし、ここには僕ら以外いない」
どきり、思わず足音を立てそうになるが必死に留めて、続きを待つ。
Aは無言。今度のは肯定のようだ。
「……押された。違う？」
ジニヒョンは自分の言葉を肯定して欲しくなさそうに、言う。
Aの姿がチラリと見えた。目線を逸らして、きゅっと手を握っていた。
「無言は肯定。ナムジュニによく言われてるよね。あぁ、出会ったばかりの日みたいだ。正解なんでしょ？ ……今にでも、殴り飛ばしに行きたいよ」
「だめ、」
「比喩だよ。例え。お前が望まないことはわかってる。でもね、今までのもそうだけど、今回のは完全に犯罪だよ。運良く後遺症も無いだけで、場合によっちゃ死ぬんだよ。死ぬの」
押された。
誰に？
ようやっと言葉が理解できてきた俺の頭の中はぐちゃりと溶岩が音を立てるように、おどろおどろしいものになっていた。
どう対処すればいいのかわからない。
あまりにも、初めての感情だったから。
「いたずらとかちょっかいとか、そんなんじゃ済まないんだよ。もしこれでお前が声を上げなかったらエスカレートする一方だと思う。いくら今後の登校日数が少ないからって、何されるかわからない」
「耐えられます、終わるってわかってるなら」
「耐えて済むものならね。……言ったでしょ、そいつらはいたずら感覚で、人を殺さんとする行為をしてるんだよ。無抵抗のお前に、歯止めが効くと思う？」
「……無抵抗なら、飽きるかも」
「……それでも相手方に希望を捨てない、か」
呆れた様子のジニヒョンが流石に堪えたようで、Aは言葉を見つけられずに視線を右往左往させる。
俺も呆れた。理解が及ばなくて、呆れるしかなかった。そこまで人を信じられて、いっそ現実を理解できなくて、ある種現実を受け入れて、優しすぎる答えに行きつけるものなのか。
何かが欠落しているのだろう。きっと、もう。
「じに、ひょ、」
Aの声にハッとして部屋の中を見た。
ジニヒョンが、Aをこれでもかと強く抱きしめて、酷く辛そうに言葉を吐く。
「Aは、何も悪くないんだよ……それだけはわかって、お願い」
必死に兄であろうとしていた。
必死に、弟であらせようとしていた。
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触 - 性被害後の処理の方向が驚きでした。完結までもっていってくださりありがとうございます。お疲れ様でした。 (2021年8月5日 3時) (
レス) id: 95434f44d3 (このIDを非表示/違反報告)
ぼく(プロフ) - 虞犯少年さん» リクエストさせて頂けて光栄です、新しい作品の方も毎日毎分まだかまだかと更新楽しみにしております(笑) (2019年1月3日 16時) (レス) id: a099ebec59 (このIDを非表示/違反報告)
虞犯少年(プロフ) - 猫わかめさん» そんな素敵な言葉をいただける作品を書けたことを嬉しく思います。読んで下さりありがとうございました。 (2019年1月3日 14時) (レス) id: 3f60c9b07f (このIDを非表示/違反報告)
猫わかめ - 感動しました。次へ、次へと、手が止まりませんでした。素敵な小説をありがとう。そして、完結お疲れ様でした (2018年12月31日 17時) (レス) id: abf16c0298 (このIDを非表示/違反報告)
虞犯少年(プロフ) - ぼくさん» ありがとうございます。まさにそう思われる作品を目指していたので、本当に嬉しいお言葉です。いいですね、短編でやってみたいです。 (2018年12月29日 14時) (レス) id: 3f60c9b07f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：虞犯少年 | 作成日時：2017年10月7日 22時
