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「脳震盪と、数カ所の痣、あと左耳が少し切れてしまっています。それ以外に大きな傷はありません。脳震盪も後遺症の心配はない程度ですので、暫くすれば目覚めるでしょう。活動に支障もないかと」
看護師は俺たちに安心を与えるべく、優しい口調で言う。
皆、安心した。ナムジュニヒョンはふらふらと壁に寄りかかり、ジミニヒョンとテヒョンイヒョンは無意識にか肩を寄せて息を吐いた。
俺は、俺には寄りかかるものもなかったし、寄せる肩もなかったから、Aの隣に置いてあった椅子に座って項垂れた。
また心配かける。
ドジめ。
ふわふわしやがって。
しっかりしろ。
馬鹿じゃねぇの。
世話かけんな。
違う。いや、違わない。違う、違う。
俺が何か言うんじゃない。もう終わりにしてくれ。お前の話が聞きたい。Aの話。俺の手の届かない場所に意識を移すなよ。次戻って来たら、もう絶対に逃がさないから。
友達になろう。友達なんかで終わらない、友達に。
唐突に看護師が口を開いた。
「……ただ、念のため全身の検査をさせていただいたんですが、その……」
「……？」
歯切れが悪いので、俺たちは目線を向けるだけ向け無言になってしまった。なんだ？
看護師が続きを話そうと再び息を吸った時、ベッドの上の男が息を吐いた。
「ん、ん……？」
「Aッ！」
身を乗り出して顔を覗き込む。細長い睫毛がぴくりと動いて、事態を認識しようとしていた。
「な、ぁ……じょんぐ？ が？ どこ、ここ……」
「ここ、ここは病院だ。お前、ほんと……ああ、もう、A……」
「……あ、そうだ、うん。学校の……」
身を動かすと痛い部分があるらしく、ちょくちょく顔を歪める。
それが人間らしくて俺は安堵した。
ナムジュニヒョンがゆっくり歩み寄る。
「大丈夫そうか？」
「ヒョンだ、はい。平気です。ただ、耳がじくじく痛みます」
「ぱっくり切れてしまっていますから」看護師がそう加える。「それだけは、少し目立つかもしれません」
「ぱっくり……」発音を真似るように呟く。どうやらぱっくりがわからないらしい。傷口にもよるが、見たらショック受けるかもな。
「……足でも滑らせたのか？」
太もものあたりをぽんぽん叩きながらナムジュニヒョンが問いかける。割れ物、いや、小動物に触れるような優しい手つきだ。
しかしAは、しばし沈黙し、ひゅっと息を呑んだ。
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触 - 性被害後の処理の方向が驚きでした。完結までもっていってくださりありがとうございます。お疲れ様でした。 (2021年8月5日 3時) (
レス) id: 95434f44d3 (このIDを非表示/違反報告)
ぼく(プロフ) - 虞犯少年さん» リクエストさせて頂けて光栄です、新しい作品の方も毎日毎分まだかまだかと更新楽しみにしております(笑) (2019年1月3日 16時) (レス) id: a099ebec59 (このIDを非表示/違反報告)
虞犯少年(プロフ) - 猫わかめさん» そんな素敵な言葉をいただける作品を書けたことを嬉しく思います。読んで下さりありがとうございました。 (2019年1月3日 14時) (レス) id: 3f60c9b07f (このIDを非表示/違反報告)
猫わかめ - 感動しました。次へ、次へと、手が止まりませんでした。素敵な小説をありがとう。そして、完結お疲れ様でした (2018年12月31日 17時) (レス) id: abf16c0298 (このIDを非表示/違反報告)
虞犯少年(プロフ) - ぼくさん» ありがとうございます。まさにそう思われる作品を目指していたので、本当に嬉しいお言葉です。いいですね、短編でやってみたいです。 (2018年12月29日 14時) (レス) id: 3f60c9b07f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：虞犯少年 | 作成日時：2017年10月7日 22時
