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「今日は授業で描いた自画像が返ってくるんだ」
頑張って描いたからきっといい評価もらえてる、お前は至極楽しそうに緊張していた。
そうして俺を見て、照れ臭そうに続けたよな。
「一番に君に見て欲しいから、早く帰るね！」
夕暮れ。
意識の無いAはベッドに横たわる。
死体みたいだった。
◇
Aが救急車で運ばれたと、息も絶え絶えに、固定電話の受話器を取ったジミニヒョンが混乱した様子で叫んだ。
その時宿舎にいたのはナムジュニヒョンとジミニヒョン、テヒョンイヒョン、俺。
そんな状況を連絡される日が来ると思っていなかった俺たちは酷くテンパった。
血が引けて熱いと冷たいが頭をぐるぐる二層に巡って口が裂けるように乾いて指先が他人のものになる。
泥人形のようになった俺の手を引いたナムジュニヒョンは、マネージャーが出すと言う車にそのまま俺を押し込んだ。
「救急車、って？」もう片方の手でジミニヒョンを連れてきたらしい。ナムジュニヒョンはそう問いかけた。
「わかんない、詳しいことは……ただ、階段からおちて、意識ない、みたいな」
助手席にナムジュニヒョン、後部座席にあと三人。
沈黙が降りた。いや、絶句だった。子供にとってその文章は、まるで絶望を与えるものだった。
外の景色が流れて行く。
息が苦しい。重い。今朝見た笑顔が思い出せない。
病院に着いても、漫画みたいに駆け出せなかった。足は蜘蛛の巣に雁字搦めになったと勘違いするほど進まない。病院に来た、その事実が、Aがここにいると言う現実を突きつけてくる。
顔面蒼白なテヒョンイヒョンが俺を見て、顔白、と引きつった笑いを見せた。元気付けようとしたのだろう。正直逆効果だ。
意識が無い、階段から落ちた、病院、救急車。
時系列もバラバラに事実を表す単語が脳を流れる。
漫画の、階段から落ちて死んでるシーンが浮かぶ。
ゲームの、心拍が止まる音が聞こえる。
「事務所の方ですね、どうぞ、こちらが」
Aは眠っていた。
耳に一つガーゼが貼られていて、その他は殆ど処置された様子がなかった。外傷が少なかったと話していることに、その時俺は気づいていなくて、俺はただ、Aを見ていた。
体がぐらぐら揺れる。覚束ない足取りでAの元に行った。息が聞こえる。あの日と同じだ。息だけが生きていることを伝えてくる。
ベッドの横に立てかけられた自画像だけが、病室に彩りを与えていた。
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触 - 性被害後の処理の方向が驚きでした。完結までもっていってくださりありがとうございます。お疲れ様でした。 (2021年8月5日 3時) (
レス) id: 95434f44d3 (このIDを非表示/違反報告)
ぼく(プロフ) - 虞犯少年さん» リクエストさせて頂けて光栄です、新しい作品の方も毎日毎分まだかまだかと更新楽しみにしております(笑) (2019年1月3日 16時) (レス) id: a099ebec59 (このIDを非表示/違反報告)
虞犯少年(プロフ) - 猫わかめさん» そんな素敵な言葉をいただける作品を書けたことを嬉しく思います。読んで下さりありがとうございました。 (2019年1月3日 14時) (レス) id: 3f60c9b07f (このIDを非表示/違反報告)
猫わかめ - 感動しました。次へ、次へと、手が止まりませんでした。素敵な小説をありがとう。そして、完結お疲れ様でした (2018年12月31日 17時) (レス) id: abf16c0298 (このIDを非表示/違反報告)
虞犯少年(プロフ) - ぼくさん» ありがとうございます。まさにそう思われる作品を目指していたので、本当に嬉しいお言葉です。いいですね、短編でやってみたいです。 (2018年12月29日 14時) (レス) id: 3f60c9b07f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：虞犯少年 | 作成日時：2017年10月7日 22時
