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僕は日本人だ。
「……痛い」
階段の上から突き飛ばすなんて酷いことをする人もいるんだなと少し悲しい。
もちろんそんな人ばかりじゃないことは知っている。
きっと、変なのは僕の方なんだ。
温もりが欲しい、声が欲しい。
涙が嗚咽とともに溢れ出る。
僕は罪人なのでしょうか？
暗い暗い道を一人でひた歩く。
こんな罰、僕には耐えられない。
◇
「A、A！」
「……う、ん？ あ、ジョングク……」
頬をパタパタ叩かれて、目覚めると端正な顔立ちの少年がいるから笑ってみせる。
彼は少し呆れ気味。でも起こしに来てくれるから、優しい人。
「おはよう」
「おはよう、じゃない！ これからダンスレッスン！」
「う、そうだった……」
「行くよ」
腕を引かれるから立ち上がる。
ダンス用の靴を引っ張り出すために一度その腕を払うと、ジョングクが不機嫌そうに顔を歪めた。
僕は焦って理由を言う。
「シューズ、取るから」
「あぁ……わかってるよ、そんなの」
「そっか。ごめん」
「すぐ謝るなって言ってる」
「……うん」気弱な声が出る。
「女々しいのやめろとも言ってる」
「……僕はジョングクがいないとダメだなぁ」
あはは、と笑ってみせるけど、ジョングクは口を尖らせてまた腕を引いた。力強い、ちょっと痛い、だから安心する。
◇
新曲のダンスはいつも通り難しいから、休憩時間は呼吸をすることに専念する。
ダンスは苦手だ。覚えたと思うと忘れて、頭の中でこんがらがる。音楽だけが延々と流れてて、足だけ取り残されて。そんなことばっかり。
「A〜ついてこれてる〜？」
ダンス長ホビヒョンが倒れ込んだ僕の横にしゃがみこんでけらけらと笑った。喋りっぱなし踊りっぱなしなのに自分がJ-HOPEとして求められている時の明るさは眩しいくらい美しいから、本当に尊敬する。
「大丈夫、です」
「ステップ速いからね。Aは理解できたら上手だけど、理解できるまで結構かかるし、わからないことあったらすぐ言うんだよ！」
「はい。いつもすみません」
「すぐ謝らない！」
ビシッと人差し指を僕に向けて、また笑顔を浮かべてから彼は別の人の元へ行った。
練習室は音楽がかけっぱなし。お高い私服も汗だくで、クリーニングの人いつもご苦労様です、って言いたくなる。
僕はなんというか、未だにそういうところが彼らと同じに慣れていない。
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違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
触 - 性被害後の処理の方向が驚きでした。完結までもっていってくださりありがとうございます。お疲れ様でした。 (2021年8月5日 3時) (
レス) id: 95434f44d3 (このIDを非表示/違反報告)
ぼく(プロフ) - 虞犯少年さん» リクエストさせて頂けて光栄です、新しい作品の方も毎日毎分まだかまだかと更新楽しみにしております(笑) (2019年1月3日 16時) (レス) id: a099ebec59 (このIDを非表示/違反報告)
虞犯少年(プロフ) - 猫わかめさん» そんな素敵な言葉をいただける作品を書けたことを嬉しく思います。読んで下さりありがとうございました。 (2019年1月3日 14時) (レス) id: 3f60c9b07f (このIDを非表示/違反報告)
猫わかめ - 感動しました。次へ、次へと、手が止まりませんでした。素敵な小説をありがとう。そして、完結お疲れ様でした (2018年12月31日 17時) (レス) id: abf16c0298 (このIDを非表示/違反報告)
虞犯少年(プロフ) - ぼくさん» ありがとうございます。まさにそう思われる作品を目指していたので、本当に嬉しいお言葉です。いいですね、短編でやってみたいです。 (2018年12月29日 14時) (レス) id: 3f60c9b07f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：虞犯少年 | 作成日時：2017年10月7日 22時
