検索窓
今日:3 hit、昨日:2 hit、合計:3,111 hit

episode6 ページ8

A「テリーさんは、どうしてここに…?」
テリー「俺の底知れぬ力を知るために、魔物討伐をしていたら知らぬ間に……と言ったところだ」
A「なるほど……要するにレベル上げですね」

Aはサラッと略すと、テリーは「まぁな」と言うように頷いた。

馬車に乗りながら、それぞれの成り行きを聞いていたのだった。
まず、テリーが来るということすら謎なのだが。

アクト「不思議なこともあるものだな」
メーア「本当ね。Aはどこから来たのかしら?」
A「私は……スレイドルという島から来ました」
ディルク「スレイドル……聞いたことないのう……」

それもそのはず、スレイドルという島はAの脳内の島だから。
この世界にあるはずないのだから、聞いたことがないというディルクにも納得できた。

テリー「スレイドル? そんな島聞いたことないぞ」
メーア「私もよ。世界は広いってことね!」
A「え、えぇ……。そうですね」

嘘、ということは言えず、Aは曖昧に頷いてみせた。
でも、Aにも心残りはあった。

(どうして私の正体(・・)に気づかないの……?)

生きるか死ぬかの確率で、入ったエルサーゼ含むこの世界。
義理の叔父に当たるヘルムードは闇の一族。Aも闇の魔術は使えるし、薄いと思われるが闇の一族の血は引いているはずだ。

けれども、メーア達と同じように魔物に牙を剥けられる。もしかしたら、闇の一族の血なんて引いてないのかもしれない……と最近は思い始めていた。

でも、それが事実なら、亡き叔父はあんな遺言を残すはずがないのだ。

複雑な心境のせいか、難しい顔になっていたのかメーアがじーっと顔を覗き込んでいた。

A「な、なんでしょう……?」
メーア「すーっごくムッとした顔してたから。なにかあったの?」

メーアにそう言われても、本音をいう訳にはいかない。Aは、「そんなことないですよ」と返した。

メーア「そういやAって敬語よね。そんなに固くなくていいわ!」
アクト「ああ。俺たちは、仲間だろ?」

仲間。
Aは、その言葉を噛み締めた。

(仲間だなんて……いずれ、メーアさん達と戦うことになってしまうのに……)

そう思うが、『仲間』という存在は今までAの周りにいなかった。
すごくすごく、嬉しいのに、隠さなければいけない真実に後ろめたい気持ちになった。

でも……

A「うん!」

メーアの言葉に強く頷いた。

episode7→←episode5



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (3 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
3人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:Dream★World | 作成日時:2018年11月25日 9時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。