【第2章】 8 地獄へ旅行に行こう ページ8
射撃場に見学だと言って入って行き、店主の後ろにあるパソコン画面に目を通す。7番にジェームズと書いてあったのを見つけて、室内を抜けて射撃場に入っていく。ガラス屋根付きの500フィードの射撃場は、缶ジュースや煙草ケースが落ちているものの、いつ見ても芝生が手入れされていて綺麗だ。
黒の革ジャンを着た、真っ黒な髪の男。背中でジェームズだと分かり、近付いて行って首根っこを掴んだ。ジェームズは振り返り、青い目でふっと俺を見ると、俺の名前を呼んだ。
「どうしたんだよ。俺はまだ休憩時間の筈だぜ?」
「すまんな。急ぎなんだ。iPS細胞レッドの話はしたことがあったな」
「……奥の喫煙室に行こうか」
ジェームズは、プレハブ型の喫煙室を指さす。慌てずに冷静を装い、俺の話を
「おい。先にそのiPS細胞がどうしたんだよ。また買ったのか?」
「不人気だったんだ。買ってない。でも俺達で専売してるっつーのに、他の奴に渡っちまうかもしれねーんだ。エバンが誘拐されたらしい」
「エバンって……リゼとチェリーの息子じゃねーか」
「ああ」
俺達は誰もいない喫煙室に入り、換気扇のスイッチを入れた。ジェームズが俺に煙草を1本わけてくれ、一緒に灰皿を囲んだ。
「ふたりがベビーシッターを雇って、家に帰ったら誰もいなかったらしいんだ。チェリーがベビーシッターのイラストを描いてくれたが、これじゃヘタクソすぎて訳分からん」
俺はトレンチコートの腕ポケットから、メモ用紙を取り出して手渡す。ジェームズは眉をひそめて、イラストを見た瞬間にがはっと高い笑い声を飛ばした。そしてイラストを俺に返して、煙を思いっきり吐いた。
「こりゃあ……さすがのアンタでも無理だよ」
「特徴的なのは、毛先だけ巻いたブロンドの髪と、青い目、桜色のリップグロスを塗ってることだけだな。あと身長は160センチ」
「そんな女いくらでもいるじゃねーか。俺の友達にもいるぞ? 他にはねーのかよ?」
「名前は、ブロッサムと名乗っていたらしい。そして、これが一番有力だろう。コロラドの訛りがあったそうだ」
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あに(プロフ) - いえいえ。こちらこそ、お忙しいところ申し訳ありません。 (2015年11月1日 10時) (レス) id: b6e044a433 (このIDを非表示/違反報告)
レイチェル・ハジェンズ(プロフ) - あにさん» ありがとうございます。私もコイツらのこと好きです(°▽°)/あに先生の小説の評価、遅くなって申し訳ありません。これから暫く暇になると思うので一気読みしますb (2015年11月1日 8時) (レス) id: 6298628eb9 (このIDを非表示/違反報告)
あに(プロフ) - キャラクターの台詞がとても好きです。そして、映画を見ているような感覚です。文を読むとその場の様子が浮かんできて、感動しました!このサイトではめったにこういう作品と出合うことがめったにないので……。 (2015年11月1日 0時) (レス) id: b6e044a433 (このIDを非表示/違反報告)
レイチェル・ハジェンズ(プロフ) - 阿吽さん» コメントありがとうございます(*´∇`*) 今振り替えると、文の羅列ばかりで配列に工夫がないような……。でも今のバランスなければ凄いという言葉は出ないはず。難しい所ですね。 読んでくださってありがとうございました! (2014年11月5日 23時) (レス) id: 5c4ab849ae (このIDを非表示/違反報告)
阿吽(プロフ) - 凄い…!!あ、イベントに参加登録してくれてありがとうございます!!!! (2014年11月5日 23時) (レス) id: e6f590558d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:レイチェル・ハジェンズ | 作者ホームページ:https://twitter.com/seshiru777777
作成日時:2014年8月7日 15時