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俺とキャロルはふたりに向かい合って座った。湯気の立つ紅茶は白のカップに注がれて、濁りのないフロリダ・ゴールドの色をして、水面が暖房の風で小さく揺れていた。
俺はガラステーブルに置いていた、ピンクのファイルを閉じる。必要ないとふたりを見て判断したからだ。
「依頼では、ひどい発熱と吐き気があって薬を投与したからと聞いたが？」
子供を作る実験に成功しても、まだ未知の領域が多い。未反応細胞と薬が出会えば、化学反応を起こすかもしれないので、病院に行くのも消毒液も出来れば遠慮してもらっている。もし薬を投与したら近いうちに大学病院か、俺達の所に来てほしいと頼んだ。
俺の言葉に、リザとチェリーは不安そうにアイコンタクトをとった。そして、チェリーが俺達の方を見詰めて話した。
「ごめんなさい。私達を話を聞いてほしいの。
実はね……私達、国籍を売ったのよ。パスポートも」
「クレジットカードを払うのに金が必要だったんだ」
俺はふたりの目の前で右手を振った。
「おい、待て。今は経済も好調で金もバンバン入ってくるはずだが？」
「それに、リザ。貴方は保険会社の御曹司よ。お金には困らないはず」
「親には見放された。……だから、ニューヨークに家を買ったんだ。俺とチェリーと、それから息子のエバンと３人で仲良く住んで、それで俺が家族を養うために頑張って働こうって……」
父親という身になった逞しいリザの瞳に、一瞬だけ弱い光が入った。それを逃さずに見て、エバンがこのふたりの元に抱かれた日のことを思った。もう４年前の記憶になっているというのに、俺の胸をここまで暖かくさせてくれる。
「でも、今まで馬鹿やってた俺を雇おうとする会社は何ひとつなかった。もう財産を売り払うしかやっていけない状態で、国籍とパスポートを売り払ったんだ。でも、ローンを返すのに精一杯で底がつきたんだ」
「リザを見ていられなくなってしまって、私も専業主婦じゃなくてパートに出たの。リザがハローワークに行ってる間、息子が心配でしょう？ その時だけベビーシッターに預けようと思ってネットで調べたのよ。そしたら運良く近所でベビーシッターをしてくれるって所があって、家に来てもらったわ。
えらくやっすくベビーシッターに預けられると思った……家に帰ったらベビーシッターも愛しのエバンの姿もなくなっていたわ」
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あに(プロフ) - いえいえ。こちらこそ、お忙しいところ申し訳ありません。 (2015年11月1日 10時) (
レス) id: b6e044a433 (このIDを非表示/違反報告)
レイチェル・ハジェンズ(プロフ) - あにさん» ありがとうございます。私もコイツらのこと好きです(°▽°)／あに先生の小説の評価、遅くなって申し訳ありません。これから暫く暇になると思うので一気読みしますb (2015年11月1日 8時) (レス) id: 6298628eb9 (このIDを非表示/違反報告)
あに(プロフ) - キャラクターの台詞がとても好きです。そして、映画を見ているような感覚です。文を読むとその場の様子が浮かんできて、感動しました！このサイトではめったにこういう作品と出合うことがめったにないので……。 (2015年11月1日 0時) (レス) id: b6e044a433 (このIDを非表示/違反報告)
レイチェル・ハジェンズ(プロフ) - 阿吽さん» コメントありがとうございます(*´∇｀*) 今振り替えると、文の羅列ばかりで配列に工夫がないような……。でも今のバランスなければ凄いという言葉は出ないはず。難しい所ですね。 読んでくださってありがとうございました！ (2014年11月5日 23時) (レス) id: 5c4ab849ae (このIDを非表示/違反報告)
阿吽(プロフ) - 凄い…！！あ、イベントに参加登録してくれてありがとうございます！！！！ (2014年11月5日 23時) (レス) id: e6f590558d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：レイチェル・ハジェンズ | 作者ホームページ：https://twitter.com/seshiru777777
作成日時：2014年8月7日 15時
