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新聞配達の男が腕時計を何度かクリックして、男に時間を知らせた。バーンは腕時計を覗き込み、目を大きくした。そして口元に苦笑を漏らすと、組んでいた腕を片方だけ上げて、さようならをした。新聞配達の男は、ぺこりと頭を下げてさようならをする。
新聞配達の男は向こうに、バーンは公園を一瞥してこちらに歩いてきた。裸の手をジーンズのポケットにつっこみ、目元に黒のオーラを漂わせる。写真のオーラと今のオーラが別物のように思えて、俺はごくりと息を飲む。だが、あの男に間違いなかった。
「ロバート。こっちにくるわ」
「わかってる」
凝視する訳にもいかず、慌ててドアポケットに手をつっこみ、地図を取り出す。道に迷った観光客を装い、地図を車いっぱいに広げた。キャロルは俺の方に寄りながらも、横目でバーンのことを追っていた。
窓と地図の細い間から、グリーンアイが上下に動きながら通っていく。間違いない。徐々に地図をさげて行き、顔をよく見る。26という若さからかけ離れた、ごわついて分厚い皮膚。ぱりぱりに乾燥した唇。尖った顎には肉が付きはじめている。
バーンが視界からはずれ、キャロルは地図をがさっと下げる。地図がぐしゃぐしゃになったが、相手が無敵のお嬢様なので口を出すのを辞めた。呆れながらも地図を折りたたむ。
キャロルがポケットから煙草を取り出したので、窓を少しだけ開けた。
「不潔そうな男ね」
「ああ。そうだな」
「嫌な顔をひとり覚えたわ。追跡しましょう」
「奴ひとりで充分だろう。毎日犯罪をしているような連中だ、他の奴とも連絡を取るだろう」
俺はキャロルにアイフォンを渡した。ジェームズに宛てるメール画面になっているのを見て、キャロルは一瞬だけ白目を浮かべた。仕事を進めるのが嫌なのだろう。俺はエンジンをふかし、前へと進む。結構長い時間オンボロが停車してしまっていたものだから、もう一度視界に入るとバレてしまうかもしれない。
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あに(プロフ) - いえいえ。こちらこそ、お忙しいところ申し訳ありません。 (2015年11月1日 10時) (レス) id: b6e044a433 (このIDを非表示/違反報告)
レイチェル・ハジェンズ(プロフ) - あにさん» ありがとうございます。私もコイツらのこと好きです(°▽°)/あに先生の小説の評価、遅くなって申し訳ありません。これから暫く暇になると思うので一気読みしますb (2015年11月1日 8時) (レス) id: 6298628eb9 (このIDを非表示/違反報告)
あに(プロフ) - キャラクターの台詞がとても好きです。そして、映画を見ているような感覚です。文を読むとその場の様子が浮かんできて、感動しました!このサイトではめったにこういう作品と出合うことがめったにないので……。 (2015年11月1日 0時) (レス) id: b6e044a433 (このIDを非表示/違反報告)
レイチェル・ハジェンズ(プロフ) - 阿吽さん» コメントありがとうございます(*´∇`*) 今振り替えると、文の羅列ばかりで配列に工夫がないような……。でも今のバランスなければ凄いという言葉は出ないはず。難しい所ですね。 読んでくださってありがとうございました! (2014年11月5日 23時) (レス) id: 5c4ab849ae (このIDを非表示/違反報告)
阿吽(プロフ) - 凄い…!!あ、イベントに参加登録してくれてありがとうございます!!!! (2014年11月5日 23時) (レス) id: e6f590558d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:レイチェル・ハジェンズ | 作者ホームページ:https://twitter.com/seshiru777777
作成日時:2014年8月7日 15時