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 俺より、キャロルの方が洞察力を研ぎ澄ませていたらしい。俺は若者が公園で悪ふざけをし、戯れる様子を眠たい目をこすりながら見ていただけだったが、キャロルがあっ、と声を上げた。車の遠方を指さし、


「ロバート。あれ!」


 午前11時、キャロルが俺のダウンジャケットの袖口を引っ張り、太っちょ男を指さす。10メートル先、昨日見た男に間違いなかった。真っ黒なダウンジャケットを着て、太い腕を硬く組んでいる。ソイツは、自転車にまたがって新聞配達をしている男と楽し気に話している。優しそうな風格に、広いおでこ。オレンジとも茶髪ともつかない、細く面積の狭い髪の毛。冬の寒さで鼻と頬を紅色に染める。


「間違いない。アイツだ」
「バーンだわ。私がアイコンタクトをとってくる。貴方は少しここで待ってて」


 ドアのぶに手をかけ、右足を動かしたキャロルはバーンの方しか見ていなかった。俺はキャロルの腕を掴み、黙ってここにいるんだと目で合図する。キャロルは眉間に皺をよせ、鼻で息を漏らす。ひそひそ声で、


「アイツらのスパイにでもなる気か? 質の悪い奴等のスパイなんかしたら、アイツら死ぬまでお前のこと追っかけるぞ。しかもお前は現役じゃないんだ。本気で殺されるぞ」
「くそだわ。壊滅状態にしてやりたい気分よ」


 キャロルは苛々のある言葉を返す。自分が喧嘩のできる身体に整っていないことを悔しがっているようだ。季節外れのサングラスをボックスから取り出して、酷く睨んだ目を隠す。俺は静かに溜息をつき、ふたりを見張っていた。携帯をポケットから取り出し、ハンドルの下でジェームズとビアンカにメールを送る。

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設定タグ:ローファンタジー , 海外・アメリカ , 恋愛、シリアス   
作品ジャンル:純文学, オリジナル作品
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あに(プロフ) - いえいえ。こちらこそ、お忙しいところ申し訳ありません。 (2015年11月1日 10時) (レス) id: b6e044a433 (このIDを非表示/違反報告)
レイチェル・ハジェンズ(プロフ) - あにさん» ありがとうございます。私もコイツらのこと好きです(°▽°)/あに先生の小説の評価、遅くなって申し訳ありません。これから暫く暇になると思うので一気読みしますb (2015年11月1日 8時) (レス) id: 6298628eb9 (このIDを非表示/違反報告)
あに(プロフ) - キャラクターの台詞がとても好きです。そして、映画を見ているような感覚です。文を読むとその場の様子が浮かんできて、感動しました!このサイトではめったにこういう作品と出合うことがめったにないので……。 (2015年11月1日 0時) (レス) id: b6e044a433 (このIDを非表示/違反報告)
レイチェル・ハジェンズ(プロフ) - 阿吽さん» コメントありがとうございます(*´∇`*) 今振り替えると、文の羅列ばかりで配列に工夫がないような……。でも今のバランスなければ凄いという言葉は出ないはず。難しい所ですね。 読んでくださってありがとうございました! (2014年11月5日 23時) (レス) id: 5c4ab849ae (このIDを非表示/違反報告)
阿吽(プロフ) - 凄い…!!あ、イベントに参加登録してくれてありがとうございます!!!! (2014年11月5日 23時) (レス) id: e6f590558d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:レイチェル・ハジェンズ | 作者ホームページ:https://twitter.com/seshiru777777  
作成日時:2014年8月7日 15時

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