【第5章】 33 人情トリック ページ33
腕を組みながら、キャロルは「そうね……」と話を続けた。ビアンカとジェームズは一瞬だけお互いを睨み合った後、ジェームズは左、ビアンカは右のベッドへ別れる。俺も腕を組んでキャロルと向かい合う。
「オークション会場がどんな所か分からないのよね。手掛かりは住所だけ。それに、どんなセールスマンとロッヂのアジトが繋がってるのかも情報が欲しいわ」
「ビアンカ、調べられるか?」
「顔面認証システム。顔の映像か画像、写真があればなんとかなる」
「さすが情報屋さんね」
「繋がってるだけ」
冷たく台詞を吐き捨てる。ビアンカはバッグから栄養ドリンクを取り出し、上を向いてぐっと飲み干す。茶色の小瓶に凝縮された栄養剤が、今日のエネルギーとなる。
「俺がオークション会場を撮影してくる。ビアンカにそれを送れば良いんだろ?」
「奴等はプロだ。撮影してんのがバレないようにな」
「オーケー」
ビアンカは上半身だけジェームズの方を向き、人差し指を出して念を押す。それを確認したジェームズは親指と人差し指で輪っかを作る。
仕事に入るとメリハリがつく奴等と捉えて良いのか、もうあの喧嘩は終わったのか、分からなくなってくる。
「私はベビーシッターの役をする。ロバートはどうするの?」
「ジェームズと同行しようかな」
「すまんが、カメラはひとつしか持って来てねーんだ」
「マジかよ」
ビアンカは笑みを含んだ謝り方をした。機材がかさばって持って来れなかったのだろう。ノートパソコンに、折り畳み式の受信機。キャロルは短く笑い声を漏らした後、目に光を取り込み、
「私と一緒にベビーシッターする?」
俺はそりゃねえよ、と首を振った。左のベッドにダイブして、枕に顔をうずめた。俺は子供とか赤ん坊とかが苦手だし、関わりたくない対象なのだ。自分にもし子供が出来たらそれは別だが、他人の子供はどうも苦手だ。それはキャロルも認知済みだ。
「そりゃねえよ!」
俺のしょげようを見たのかそうじゃないのか、ジェームズは口を開けた。
「いや、ロバートは俺がもらってく」
「は?」
「例のエバンを盗っとしたコニー・バックリーも同時刻にオークション会場に居合わせる。ロバートにはそれを探してもらう」
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あに(プロフ) - いえいえ。こちらこそ、お忙しいところ申し訳ありません。 (2015年11月1日 10時) (レス) id: b6e044a433 (このIDを非表示/違反報告)
レイチェル・ハジェンズ(プロフ) - あにさん» ありがとうございます。私もコイツらのこと好きです(°▽°)/あに先生の小説の評価、遅くなって申し訳ありません。これから暫く暇になると思うので一気読みしますb (2015年11月1日 8時) (レス) id: 6298628eb9 (このIDを非表示/違反報告)
あに(プロフ) - キャラクターの台詞がとても好きです。そして、映画を見ているような感覚です。文を読むとその場の様子が浮かんできて、感動しました!このサイトではめったにこういう作品と出合うことがめったにないので……。 (2015年11月1日 0時) (レス) id: b6e044a433 (このIDを非表示/違反報告)
レイチェル・ハジェンズ(プロフ) - 阿吽さん» コメントありがとうございます(*´∇`*) 今振り替えると、文の羅列ばかりで配列に工夫がないような……。でも今のバランスなければ凄いという言葉は出ないはず。難しい所ですね。 読んでくださってありがとうございました! (2014年11月5日 23時) (レス) id: 5c4ab849ae (このIDを非表示/違反報告)
阿吽(プロフ) - 凄い…!!あ、イベントに参加登録してくれてありがとうございます!!!! (2014年11月5日 23時) (レス) id: e6f590558d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:レイチェル・ハジェンズ | 作者ホームページ:https://twitter.com/seshiru777777
作成日時:2014年8月7日 15時