第七話 50メートル走 ページ9
．
個性把握テストは着々と進む。
第一種目──50メートル走
「8秒32！」
Aの妹である響香が、8秒32という記録を残す中。
Aはというと……
「っ…おえ…ごほっ……！」
第一種目から、すでに息切れをしていた。
(息切れ＿＿と言うか呼吸困難)
6秒92と、男子高生の平均より少し上くらいの記録だが、
" 個性 "を使わずにここまでの記録を残せるのなら、Aはまあ運動神経が良い方だと言える。
「え、なんで呼吸困難？」
「兄さん、日頃から部屋に引き籠ってるから……体力が無いんでしょ」
大丈夫か？と、上鳴が声をかける。
ゼー、ハー、と呼吸を繰り返すAの顔は、まさに顔面蒼白。
第一種目だけで体力を使い果たしてしまったように見える。
「引きこもり」
それを見た響香が、冷静にそう吐き捨てた。
響香の発言にイラッときたものの、
それは間違っていなかったため、何も言い返せない。
運動は体育の授業ぐらい、これまでの休日のほとんどは自室に引き籠り、
音楽鑑賞や趣味に時間を費やして来たAに、体力はない。
「おいおい、初っ端からそれで大丈夫なのかよ」
からかうようにしてそう言う上鳴だったが、ふと思い出したことがあった。
「そういや、お前らって" 個性 "なんなの？」
「それ、今聞くのかよ」
教室で聞いたときは、教えてもらえなかったので、
順番待ちの今、聞いたらしい。
息切れ中のAに代わり、響香が答える｡
「ウチらの" 個性 "は「イヤホンジャック」｡コレを壁に挿せば、盗聴とかできるよ」
他にも使い道はいくつかあったのだが、なぜかAは「それぐらいだ」と半ば強制的に説明を終わらせた。そんなAを、響香は不思議そうに見つめる。
「へーっ！そりゃ向いてないな！」
「でも何かカッケェよ！」と、興奮する上鳴。
「それで、相手に気づかれないでやっつけたんだな！」
「…？……いや、それは兄さん
不思議に思った響香は、思わずそう口にした。
上鳴がすぐに「え？」と声をあげる。
「それってどーゆー……え？お前まさかの" 個性 "二個持ち？」
上鳴の頭の上に、沢山の？が浮かぶ。
＿＿兄さん……
上鳴がAへと視線を移すが、当の本人は
「さあな」
と、一言だけ言った。
呼吸も落ち着き、いつも通りの表情で。
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桜花(プロフ) - 第二弾のパスワードが知りたいです！！教えて頂けませんか？お話がすっごく面白くて、楽しく読ませてもらってます！これからも頑張ってください！！ (2022年11月15日 21時) (
レス) @page13 id: a78013dc1d (このIDを非表示/違反報告)
yuusu2020(プロフ) - すいません、第2弾のパスワードを教えて頂けませんか?これからも更新頑張ってください (2021年8月26日 23時) (レス) id: 0a41c887d4 (このIDを非表示/違反報告)
人間 - 第２弾のパスワードってなんですか？ (2020年2月6日 17時) (レス) id: d7b3f5a1f4 (このIDを非表示/違反報告)
あーちゃん(プロフ) - 春さん» 楽しく読ませていただいているのですが、第二弾のパスワードを教えていただきたいです。 (2019年8月13日 19時) (レス) id: 32e2eab4af (このIDを非表示/違反報告)
春 - いつも楽しく読ませていただいています。第2弾読ませていただきたいのですが良ければパスワードを教えてください。 (2019年7月5日 17時) (レス) id: 7222cc18b7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蜂須賀 x他1人 | 作成日時：2018年3月11日 22時
