３年目の

いつも通りの ページ28

部活終りに教室を除くとやっぱり机に向かっている彼女の姿があった。



「 お、頑張ってるな。」
「 菅原。部活終わり？」
「 うん。」



今日は１日練習だったから、終わりがいつもより早い。定期考査の時は、部活が終わるとAの後ろで俺も勉強を始める。



「 早速だけどここ教えて。」
「 ここか？あー、これは──── 」



お互いに教え合ったり休憩で話したり、２人でいられるこの時間が好きだ。



「 あ、なるほど。ここをこうすれば良いわけか。」
「 そういうこと。」



「 じゃあ、代わりにここ教えて。」なんてさっき開いたばかりのテキストに指を差す。



「 んーと。そこは── 」



話を続けたいがために、わからない問題があるとすぐに足跡を付けるのがいつからか癖になった。一石二鳥ってまさにこの事だと思う。そして彼女は、いつもと同じく丁寧に教えてくれる。



「 菅原？聞いてる？」
「 うん、聞いてる。」



爽やかな笑顔は本当に変わらないな、そう思いながら拙いが説明をする。うんうんと聞いてくれる彼は、私が解説することなくても頭が良いから解けてしまうのではと何度も思った。

だとしたら、何故分からないと称して私に問題の解説を求めるのだろうか。

そう考える度に少しだけ胸が変な感じがするとか、高鳴るとか、今考えてみればそんなこともあったかもしれない。



「 で、こうなる。分かりにくくなかった？大丈夫？」
「 大丈夫、分かりやすかった。」



気付いたら、彼女の頭を撫でていた。近くにいたはずなのに、こんなにも愛おしく感じるなんて。



「 菅原？」
「 ……いつもありがとう。」
「 え、あ、うん。こちらこそいつもありがとう。」

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