３年目の

借り物競争と気遣い ページ24

「 位置について、よーい！」



パンッというピストルの音で始まった借り物競争。良いなあ、楽しそう。生徒の応援席側にお題箱があり、そこでお題を引く。



「 A、ちょっと借り物になってくれない？」
「 え、いや、良いけど……。」



菅原が差し出す手に自分の手をかさね一緒に走る。後ろの方から人が追いかけてくる音がした。どうやら、このまま越されなければ１位らしい。



「 平気？」
「 うん、大丈夫。」



運動音痴の私を気遣っての言葉。本当、悔しいくらいに優男。
きっと早めに走りながらも私の足取りもちゃんと見てくれてるんだろうし、辛くはない。ただ、この状況に今になってちょっと恥ずかしくなっただけ。



「 １位、青軍Aチーム！」



そのままゴールテープを切り、見事１位を獲得した。……わーい！なんかやっと体育祭って感じがしたよ私。



「 ありがとな。」
「 いえいえ。ところで、お題なんだったの？」
「 ああ、これ。」



菅原が持ってた紙を見せてもらうと、【クラスの女子 】と書いてあった。誰だこの選択肢多めのお題考えたやつ！…………私か。



「 まあ、なんて書いてあってもAのところ行こうと思ってたべ。」
「 ん？なんで？」



っていうか、それじゃあ借り物競争の意味無いじゃんか。借り物を探しなさいよ。



「 だって、前に言ってただろ？最後くらい競技出たかったって。」



「 じゃ、仕事がんばれよ〜。」と退場のために選手が整列しているところに走っていった菅原。



「 なにそれ、狡い。」



先程まで繋がれていた手が、顔が熱いのはきっと直射日光のせい。うん、そうだ、直射日光のせい……。

本部に戻りながら、さっきお礼言えなかったなあなんて考えた。その後、由実と真由香を筆頭に生徒会メンバーに弄られたことは言うまでもないだろう。

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