傀儡の人形劇ー操り人形 ページ38
「こっちだ」
駆け足で引き摺られた跡を追う。ほどなくして跡が伸びた先に、黒く蠢くものを捉えた。
「見つけた…！」
「…！？アンタら、なんで生きて…」
人であれば死ぬであろう傷を負ったはずの私達を、驚いたように凝視する。戦闘により体のあちこちを失っているアクマは、残った上半身で地を這うように進んでいた。
「ハ…ヒャハ、まさか、そういう事か！！」
「………？」
「ヒャハハ、そうかそうか、お前達が…！死なないんじゃない、ハナから生きていなかったってワケか！」
「な、何の話……」
「アンタら、第二使徒だな！！」
「！」
「……知っているのか」
「知っている、知っているさ！ロード様の言っていた、教団の人形達！」
「ロード…」
「なんだ、そう思うと笑っちゃうねェ…！作りものの命を持ったアタシたちが、ほんとうの命も無いのに殺し合ってたってわけか…！」
「…！！」
作りものの命、その言葉がいやに胸に刺さった。アクマはひとしきり掠れた笑い声を響かせてから、静かに喋り始める。
「わかるかい、セカンドエクソシスト…アタシらは死者から作られた、偽物の命を持ったもの同士。所詮アタシらもアンタらも、上の操り人形なのさ…この巨大な陰謀が渦巻く戦争において、末端のアタシたちはただの駒だ」
「………」
「無様…無様だね…！命の無いアタシたちが殺し合っているのを、伯爵様もアンタら教団の司令塔も、きっとモノが壊しあってるとしか思っちゃいないさ！！」
その言葉に言い返せなかった。嘘など何も無かったからだ。私たちもアクマも、ただの兵器で、そして人形なのだ。
しかしそれまで静かに聞いていたユウが、口を開いた。
「だとしても、だ」
「ア…？」
「んな事だったとしても、俺らはそう生きていくしかねぇんだよ」
パッと振り向くと、揺るがない瞳でアクマを見据えるユウの姿。
「ユウ…」
「フン、それに世界の陰謀が何だってんだ。俺には関係のない話だな」
ずかずかとアクマに近寄り、地を這うアクマに目線を合わせるようにしゃがみ込んだ。
「俺たちが人形なら、人形なりに利用できるモノは利用してやろうじゃねえか。その司令塔とやらを騙してでもな」
呆然と、アクマはユウの顔を見つめると、ふっと視線を落とす。
「…ハ…そうかい。それがアンタらの在り方か…」
「…生き方だよ」
最後の言葉は、まるで願いを言うかのような切ない声だった。
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若葉 - お久しぶりです。今回もすごく素晴らしいものでした。いつも素敵な作品をありがとうございます。これからも楽しみに待ってます♡ (1月22日 21時) (
レス) id: 43e60307ff (このIDを非表示/違反報告)
葵(プロフ) - D灰に再熱してから新しい作品を毎月探していますがやはり少ないので、こうして昔読んでいた作品を久しぶりに読み返すのですが…何度読んでもやっぱり良いですね。幾年過ぎても変わらず好きだなと感じます。 (2023年3月25日 18時) (レス) id: a0d23a714e (このIDを非表示/違反報告)
えりんぎ - 一気に読んでしまいました！続き楽しみにしてます^^♪ (2022年10月19日 21時) (レス) id: 7c2d0cd434 (このIDを非表示/違反報告)
もずえ(プロフ) - 若葉さん» ワーすみません！更新すっかり止まってしまっておりました…！また時間ができた時に(ゆっくりになりますが)更新しますので、思い出した時に来ていただければと…！ (2022年10月5日 14時) (レス) id: 2f26aaf540 (このIDを非表示/違反報告)
若葉 - 続き、、、続きを、、、、お恵みください、、、、 (2022年9月20日 18時) (レス) @page42 id: 7981b3d9d1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もずえ | 作成日時：2021年1月23日 13時
