Dグレ ー二番目の恋達ーThe second loves 第3夜

闇夜の声 ページ29

＊＊

1日が終わり、眠りについた後…




「………ん……」



肌寒い感じがしてうっすら目を開けると、布団が半分剥がれて自分の身体が空気に晒されていた。
寝ぼけた頭で時計を見ると、針は26時の方向を指している。



「…2時……か…、あれ…？」



少し時間を置いて、ようやくあるものが部屋にない事に気がついた。



「……クロ？」



いつも布団の上で寝ているはずの姿が、部屋の中から消えていた。



＊＊



「どうしたA、こんな時間に」

「あ、マリ。クロ見てないか？」



部屋を出ると、たまたま通りかかったであろうマリと会った。



「クロ…？それならさっきあっちに歩いていくのを見かけたが」

「そっか、ありがと。…マリは寝ないのか？」

「そろそろ眠くなってきたから、自室に戻ろうとしたところだ」

「遅…どうせ昨日も遅くまで起きてたんだろ」

「はは…お前は察しがいいな」


参ったようにマリは笑う。
いつもならマリはこの時間まで眠れないミランダの相手をしてるから、それで寝る時間がズレて今日も寝られないんだろう…。今はミランダ、任務でいないけど。

そんな事を考えつつ、手を振ってマリと別れる。

ミランダが任務から帰ってきたらまた寝る時間遅くなるんだから、寝ときゃいいのになぁ…

と思いながらクロを探していると、どこからかボソボソとした音が、廊下に響いてきた。…よく聞くと人の声だ。



ーー……ひさ……だね…、…る…



「……この声は…」



ーー今……く……だ…かな、無事で…しい…



途切れ途切れ聞こえる声に、自然と足が音の方へ向かう。
…が、音は辿り着く前に、発するのを止めてしまった。



「…止んだ…。まぁ、クロ探すか」



声の主探しは諦めて、踵を返して猫探しをしようと一歩進めたその時。



「ニャ！」

「あっクロ！どこ行ってたんだお前！」



目の前に探していたクロが現れた。
クロに向かって少し強めに言うと、ぴょんっと胸の中へ飛び込んでくる。しょうがないからそれを受け入れて、両腕で小さい身体を抱き抱えた。

腕の中でリラックスするクロは、気持ち良さそうにゴロゴロと喉を鳴らす。



「もう…甘えて誤魔化したってダメだからな！」

「ニャ〜」



…それにしても、さっきの声はどこから聞こえたんだろう…声の主も見当たらないし…



「…ま、いいか。盗み聞きは良くないし」



クロを抱いて、欠伸をしながらまた自分の部屋へと戻った。

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