その兄妹､悉く狂気｡【太宰治】

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森は太宰が出ていった部屋で小さく薄笑いを浮かべた｡

森「A君には悪い事をしたねぇ｡
だけど､此れもA君の為に成る筈だからね｡」

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任務は順調過ぎる程順調に進む｡
付けられた紅い痕は長い髪に隠れて見えない様になっている｡
相手の人数はさして多くないものの､各個人が中々に厄介だ。
流石の治も慎重に進めるのが最適と判断して任務に加担してくれている｡


…まぁ､宿は姐さんに叱り付けられて私が姐さんと相部屋になったが｡

紅葉「A｡お主､本当は太宰の事､如何思っておるのじゃ｡」

唐突にそう訊かれても困る｡それが答だ｡

『…唯の兄妹では無いのかもしれません｡』

紅葉「太宰の方がちと狂っておるからのう｡」

『私も大概治の事は云えませんがね｡』

紅葉「彼奴に曖昧な意思で応えてはならぬ｡」

『ふふ､大丈夫です｡それくらい､昔から知っていますよ｡』

紅葉「なら良い｡」


曖昧な意思｡

勿論､知っている｡

私が彼に抱くのは曖昧な意思で､

彼に応えるなら曖昧な意思ではいけない｡

狂って居るのは私も治も同じ｡

同じ血を分けた､正真正銘の双子なのだから｡

私は如何すべきか｡

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