19頁 ページ23
私は既に、戻れないほど可笑しくなっている。
あの頃の治くらいに。
そんな私が、治に逢ってしまえば。
治が妥協し、私が落ち着き、そして次に再び狂うのは治。
『………双子だもんね、仕方無いよ。』
きっと、首領は違う目的で私を長期任務へと連れ出したのだろう。
しかし、結果的にとても好都合になる。
何時かは必ず子供が親離れをするように。
私達は依存し合っていてはイケナイ。
「太宰幹部、敵の殲滅が終了しました。」
『そう、ご苦労様。もう二日此方に滞在してから帰ろうか。』
「了解しました。」
この苦痛を解消する為に治を使い、
そして再び治が苦痛を味わう。
どちらかが辛い思いをし続けていないと、私達は成らない。
ならば貧乏籖を引くべきは私だろう。
妥協と苦痛と狂気の繰り返し。
其処に終止符を打つべき時は来るのか。
「幹部、今日は風が強いです。其処にずっと居られては、体調を崩します。」
可愛らしい構成員だ。
未だ、少年と云える年頃の、小さな。
『ねぇ、君。』
「はい。」
『君は、若し如何しようもない感情の繰り返しに終止符を打つなら、
どんな方法を使うのが良いと思う?』
「自害します。ただ、それが幹部の話ならば、
誰もそんな結果は望んでいないと思います。」
この子は、きっとマフィアになんて居なければ、
純粋で、心の優しい子だったのだろう。
『ふふ、死なないよ。』
「中に入られては如何ですか。」
『……もう少し、この侭海を見ていたい。』
「では、失礼します。」
私は、如何だったのだろう。
若しも、マフィアに入らないという選択肢のある人生だったら。
どんな人間だったのか。
治は?如何だったのだろう。
396人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
玉子焼き(プロフ) - 光落ちでお願いします (2019年7月4日 21時) (レス) id: 5ea9416d9b (このIDを非表示/違反報告)
ルフレ - 初コメ失礼します!!光落ちでお願いします! (2019年6月20日 7時) (レス) id: 6e8a9f431b (このIDを非表示/違反報告)
こん。(プロフ) - 闇落ちでお願いします! (2019年6月20日 6時) (レス) id: d886d50175 (このIDを非表示/違反報告)
二次元好きのAlice(プロフ) - 光落ちでお願いします!!この作品好きなのでこれからも応援してます! (2019年6月19日 23時) (レス) id: dae695a2d7 (このIDを非表示/違反報告)
ひね(プロフ) - 初コメ失礼します!!闇落ちがいいです! (2019年6月19日 23時) (レス) id: af86408722 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:緋月 | 作成日時:2019年3月21日 7時