10 好物を貢がせてください。金なら払います。(続き) ページ22
家に帰って早速作業にとりかかる。ゴムベラとトングを両手に持って、なんとなくそれっぽさを出したものの、トングを使う用事はないので棚の中に戻す。
柔らかくしたバターに砂糖を混ぜて、そのあとに卵をまぜる。薄力粉をふるいにかけてダマにならないようにしたら、ゴムベラでさっくりと混ぜる。生地もチョコ味にしたいからココアパウダーでも入れようかな?確か冷蔵庫の中に使いかけのがあったはず。いい感じに生地ができたらチョコチップを投入!絶対おいしいよこれは。私ってば天才かも!
オーブンシートに小さく分けておいて、電子レンジで焼く!
鼻歌を歌いながら私は後片付けに取り掛かる。
食器を洗って、ボウルやヘラも洗って、拭く。
どうせならかわいいお皿に盛り付けたかったけど、手渡ししたいしラッピングするしかないか…いつか何かの口実作って来てもらえないかな…
色々考えながら洗い物を拭き終わらせて、ラッピングの袋を出していると、クッキーが焼け上がった。
鍋つかみで電子レンジからクッキーの乗った鉄プレートを取り出して、テーブルの上に置く。暖かくて甘い香りが私を誘惑する。一つ摘んで味見をしてみる。
「あふっあっふっ!おいひ〜!」
生地にココアパウダーを入れて正解だった。全部が全部チョコレート味!もうさいっこう!
冷めるのを待ちながらラッピングの袋を一つ取り出す。日本の通信販売サイトで輸入した可愛らしいくまさんの袋。私のお気に入りの一つ。
クリスは受け取ってくれるかな、喜んでくれるかな。淡い期待を胸に私は明日を待っている。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
毛布を頭まで被って。一人きりの空間で考えていた。
どうしよう。なにかAに嫌われることをしてしまったのだろうか。どうして別のところにいってしまったんだろう。ビニール袋を手に下げて。好きな人になにかあげるのだろうか。もうじぶんは用済みなのかもしれない。そもそもじぶんに対してなにも思っていなかったのかもしれない。ただの同情だったのかもしれない。嫌になったのかもしれない。
ずっとそんな考えが浮かんでは消えして、この日はあまり眠れなかった。
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椛(プロフ) - うわあああああ更新ど忘れしてツイッターで延々と妄想を垂れ流す日々を送っていましたごめんなさい (2月4日 15時) (レス) id: 3e2118f313 (このIDを非表示/違反報告)
椛(プロフ) - オンブルさん» ほんとにごめんなさい。変換ミスきもすぎ。親指恨みます。ほんとにありがとうございます。 (1月7日 23時) (レス) id: 3e2118f313 (このIDを非表示/違反報告)
オンブル(プロフ) - 椛さん» いえいえ、あとそのあとクリスが夢主を呼び止める時もミツノになってますね…すみません、今気づきました! (1月7日 23時) (レス) @page15 id: 8c99440ad0 (このIDを非表示/違反報告)
椛(プロフ) - オンブルさん» バカ恥ずかしいです。修正してきました。ありがとうございます。全世界に醜態をさらすところでした。 (1月7日 16時) (レス) id: 3e2118f313 (このIDを非表示/違反報告)
椛(プロフ) - オンブルさん» ほんとだ、自分で見てる時の名前です。変換ミスしましたごめんなさい。 (1月7日 16時) (レス) id: 3e2118f313 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:椛 | 作成日時:2023年12月17日 23時