【deltarune】クリスｻﾏで短編集

10　好物を貢がせてください。金なら払います。　(続き) ページ21

チャイムがなって、ほとんどの子が一斉に帰るこの時間、私はいつもとは違って、急いで教室を出た。
　そしてそのまま外へでる！最近できたコンビニには何でも揃ってる。
　たまご、砂糖、バター、薄力粉、チョコチップ！
　生地にもチョコを練り込もうか、きっと美味しいだろうな。
そんなことを考えながらコンビニのビニール袋を手に下げて家に帰る。思わず鼻歌も歌っちゃうくらい！
　これを機にお菓子作りを趣味にしちゃおうか…いや、私は料理が下手かもしれない…成功してから決めるべきだな…
　クリスは喜んでくれるかな。笑ってくれるかな。おいしいって言ってくれるかな。欲を言えば、ハグとか、頭を撫でたり、かわいいって言ってくれたり、き、キスだとか、してくれるかな。…私は、好きだって、言えるかな。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆

　チャイムがなって、大体が一斉にダッシュで教室を出ていくこの時間、珍しくAが急いで帰って行った。声をかけようとしていたのに、残念だ…
　何をそんなに急いでいるのか。普段のAに、じぶんのことをこんな形でほうっておかれたことは無かった。そもそも、Aはいつも当たり前のように自身より誰かを優先するような無意識に恩を振りまく子で、じぶんはその中でも特別優しくしてもらえていると思っていたけど。そうじゃなかったのかも知れない。八つ当たりだけど、チョコを憎くかんじてしまった。すこしだけ。
　それから、家に帰る途中、Aを見かけた。ビニール袋を手に下げて、満足げな顔で家に帰っている。声をかけようと思ったけど、やめた。なんだか、恋焦がれるみたいな顔をしていたから。…なんだか、勇気が出なかったから。

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