2 パイを貰います。 ページ3
クリスの家の食卓について、じっと待つ。
なんてことができるわけもなく、Aは席を立ってクリスの真後ろに立つ。香ばしいシナモンの香りと焼く前の生地特有の香り、バタースコッチの優しい甘い香りが鼻腔をくすぐる。それとクリスの栗色のふわふわのリンゴの香りも。
こんなふうに、クリスはたまにAにバタースコッチシナモンパイを振る舞ってくれる。それも毎回自信満々に。その表情がAはたまらなく好きで、毎回「美味しい」、と言いながら食べる。
トリエルおばさん直伝のパイは本当に美味しくて、優しい甘さと軽い食感が食欲をそそる。
なのでついついいつも食べ過ぎてしまう。
クリスがパイを焼ける事を知ったのは初めて家に来てから、2、3回目くらいのある日のこと、おばさんが一緒にパイを作ろうと誘ってくれるまで知らなかった。
この、「自分どーでもいいっすわー」みたいな顔をした彼がパイを焼くだなんてAは想像もつかなかった。寧ろ本当にそうだとするとちょっと面白い。
けれど実際作っている彼の手つきは拙いけれども丁寧で、温かみを感じる。
「……どうしたの？」
バタースコッチを整える手を止めて、キョトンとした顔でクリスは聞く。
「なんでもないよ。ちょっと、見たくなっただけ。」
Aはそう言ってにっこり笑って見せると、クリスは特に深く聞く様子もなく「そっか」と返す。
そのまま会話は終わって、沈黙が始まる。けれども、心地よい空気感だった。これが、「沈黙も苦ではない」というやつだろうか。満ち足りた気分だ。
なんとなく察したのか、Aが一歩下がるとクリスは屈み込み、バタースコッチを入れ終わったパイをオーブンに入れて時間設定をする。
「…よし、あとは焼けるのを待つだけだね。おまたせ。」
そういうとクリスは立ち上がり、真後ろにいる恋人にキスをする。
「ん…甘いね…？つまみ食いしたでしょ。」
「ふふ、バレた？でもちょっとだけだよ。
それと、Aの方が甘いよ。」
クリスはそう言うと、そのままAの腰を抱き寄せた。
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椛(プロフ) - うわあああああ更新ど忘れしてツイッターで延々と妄想を垂れ流す日々を送っていましたごめんなさい (2月4日 15時) (
レス) id: 3e2118f313 (このIDを非表示/違反報告)
椛(プロフ) - オンブルさん» ほんとにごめんなさい。変換ミスきもすぎ。親指恨みます。ほんとにありがとうございます。 (1月7日 23時) (レス) id: 3e2118f313 (このIDを非表示/違反報告)
オンブル(プロフ) - 椛さん» いえいえ、あとそのあとクリスが夢主を呼び止める時もミツノになってますね…すみません、今気づきました！ (1月7日 23時) (レス) @page15 id: 8c99440ad0 (このIDを非表示/違反報告)
椛(プロフ) - オンブルさん» バカ恥ずかしいです。修正してきました。ありがとうございます。全世界に醜態をさらすところでした。 (1月7日 16時) (レス) id: 3e2118f313 (このIDを非表示/違反報告)
椛(プロフ) - オンブルさん» ほんとだ、自分で見てる時の名前です。変換ミスしましたごめんなさい。 (1月7日 16時) (レス) id: 3e2118f313 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：椛 | 作成日時：2023年12月17日 23時
