31174。 ページ5
そして上がり始めて数秒ほどたった時だった。
「うわっ。」
ぼけーっとしていたAに嫌がらせの様にエレベーターが急停止をする。
右の腕をオビワンが、左の腕をアナキンが掴んでくれたことで、Aが目の前の扉に頭をぶつけることはなかったが、Aは恥ずかしくなって小さな声でお礼を言った。
「停止ボタンを押したのか？」
「いいえ。マスターAでは？」
「違う違う。」
「出る方法は1つじゃないですよ。」
そう言ってセイバーを起動したアナキンはエレベーターの天井に丸い穴をあけ始める。
「出たいわけじゃないだろう。動かしたいんだ。R2、エレベーター31174を動かしてくれ。応答しろ、R2。」
Aはやれやれと、2人の目標は同じであるのに正反対の行動をとって、結果遠回りになるこの現象をみて壁に背をくっつけてしばらく2人の行動を見守った。
この現象に対してAの13年間で学んだことは、「今の2人に何を言っても無駄である」ということである。
「R2、聞こえるか？R2、エレベーター31174を動かすんだ。」
「応答ないの？」
「あぁ。」
「あのR2が？別にR10を悪くいうわけではないけど彼よりも、、、」
不審に思ったAがR2のシグナルを探りながら話していると、アナキンのあけた大きな天井の穴が落ちてきて話が遮られた。
「いつもこれだ。」
「ほんと"いつもこれ"ね。」
「なんだその目は。」
Aの皮肉がしっかり伝わったようで、オビワンは心外！というような顔でAを見る。
「R2、コムリンクのスイッチを入れろ。R2、聞こえるか？R2？」
「うーん。R2のシグナルは変わらずさっきのところで出てるんだけどね。おかしいね。」
そう言っていたところでまたエレベーターはがくりと音を上げて、エラー音を吐きながら下へ下がっていく。
そして抜かりなくAを掴んで倒れないようにしてくれるオビワンはさすがといったところである。
「止めろ！止めるんだ！R2、我々は上に行くんだ。R2、聞こえないのか？R2、下じゃなく、上に行きたいんだ。」
オビワンが何度もR2に問いかけるとエレベーターはまたもや急に止まり、無事行きたい最上階へと向かい始めた。
「よし、これでいい。」
「アナキ、、、」
「おお、お前か。」
確か最初にエレベーターが止まったであろう所に掴まったままのアナキンの心配をしようとしたところで、彼は出ていったところから戻ってくる。
そしてオビワンが驚いたようにセイバーを構えたがすぐにおろした。
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作者名：こにし りおん | 作成日時：2021年6月23日 11時
