陽の沈む夜に。～シスの復讐～【オビワン】 (ページ34)

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愛していた。ページ34

「高度な医療センターへお連れするほかありません。生命維持処置をとります。」

ドロイドの声に頭を抱えたAだが、オビワンとアナキンの闘いの行く末も気になる。
消耗が激しいセイバー戦は基本、長くかからない。
それなのに帰ってこないということは…ということもある。

「議員、絶対に死なないでください。」

ただオビワンは守りの型ソレスを極めた、誰も彼の防御を崩すことのできない鉄壁の守りを持つ。
それに対し、アナキンはAと同じ攻撃の型。
互いの長所をつぶし合う型である2人の闘いが難航していることを願った。

パドメにそう声をかけると、オーガナの船へ最先端の医療施設への移送が必要であるためムスタファに向かっていてほしい旨を伝えると外へ出る。
ファイターの窓を開けたまま、オビワンのコムリンクとたどると、そこには2つのセイバーが真っ赤の溶岩に浮き上がるように動いていた。

そしてAは、オビワンが間違いなくアナキンの手足を切るところを目撃する。
タイミングがいいのか悪いのか。絶妙なこのタイミングはきっとフォースが用意した者だろう。
オビワンの責任。そしてそれを見守るのが補助としてアナキンを教えてきたAの責任だ。

「おまえは選ばれし者だった！シスを滅ぼすはずのお前がシスになるとは…！」

「貴様らが憎い！」

そこで、痛みに苦しみながらにらみつけるアナキンの目は、Aにも向けられる。
その目線に気づいたオビワンはAを見て、またアナキンへと向き直る。

「おまえは私達にとって弟同然だったんだ、アナキン。愛していた。」

その愛をかき消すように、アナキンの足の切断面から徐々に溶岩によって火が回る。
もうなにも見ていられなくなったオビワンは、彼のセイバーを取ってAの元へ歩く。

「行こう。」

互いが生きていたことに喜びたいところだが、この残酷にもほどがあるこの現実にそうも居られなくなり、2人は、燃え盛り切り落とされた腕をこちらへ伸ばしながら苦しむアナキンに背を向けて歩き始めた。

アナキンはオビワンとAの事を父と母と思っていた。
オビワンとAは、彼を弟だと思っていた。

ここからなにかがもうすでに違ったのかもしれない。

「愛していた。」

この言葉に尽きる。

彼女らが13年かけて育てた愛弟子は、炎に燃えた。