ヴェントレス。 ページ2
「相変わらず偉そうだね。」
そう、ヴェントレスはAのことを不細工と呼んでいる。
一周回ってなんだか仲がよさそうだが、そういうわけではなく単なる煽り言葉だ。
「話をする前にセイバーを置いて。」
「やーだね。」
「…貴方性格私より不細工よ。」
ヴェントレスとは天性の相性の悪さのようで、Aの言い返したい衝動が抑えきれない。
いけないいけないと、自分を律するとセイバーの事はあきらめて本題に移った。
「アソーカの供述では貴方と廃工場前で別れた後、廃工場であなたに急に後ろから攻撃されたと言ってたけど、貴方が犯人なの?なんだかそうとは思えないんだけど。」
「なんでお前に言わなきゃならないんだい?」
「なら取引しない?本当の事を言ってくれれば今回は見逃してあげる。」
もし今他のジェダイに見つかれば見逃さなくていいや。嫌いだし。だなんて実は心に思いながら話せばヴェントレスは了承したように口を開いた。
「あの子がお尋ね者だと言って、これは大金が稼げると思ったんだ。お前のペットを捕まえて警察化軍に引き渡せばがっぽり賞金が手に入るだろう?」
「なんで引き渡さなかったの。」
「正直最初は金にしか興味がなかった。あと復讐もちょっと。でも話していくうちに私と境遇が似ていることに気づいたんだ。」
「…どういうこと?」
「私はマスターに捨てられた。」
いつも気高さと傲慢をこれでもかと纏っていた彼女は、この一言から見たことない悲しそうな顔をする。
誰でも親愛なる師匠に捨てられることは悲しい。
どれだけ悪の塊でも、どれだけAの手を今まで二年間焼かせてきても、そんな彼女をAは可哀想だと同情した。
「アソーカだってあんたらに捨てられたじゃないか。ご立派で気高いジェダイオーダーとやらに。」
「…そうね。私は彼女を救えなかったのよ。」
そしていつもなら言い返してくるAに、ヴェントレスもまた驚く。
女同士共鳴する何かが、お互い敵だということを忘れさせていた。
「倉庫まで案内して別れた後、気が付くと何者かが背後から迫ってきたんだ。アソーカかと思ったけど違ったね。私に気づかれず近づくなんてジェダイしかいない。」
「ジェダイ?」
「そいつは私から奪ったライトセーバーを持ってる。そいつがテロの真犯人さ。」
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作者名:こにし りおん | 作成日時:2021年4月11日 4時