陽の沈む夜に。〜クローン・ウォーズ１〜【オビワン】

木漏れ日。 ページ46

「んは〜〜、綺麗だなぁ。」

早朝。ナブーの絵にかいたような美しい自然達にAは思わず声を挙げる。
5日目。もう5日も経っているのにまったく慣れないほどの美しさなのだ。

Aは、うーんと伸びをして遠くをじっと見つめると、瞑想を始める。

ジェダイの基本は瞑想だ。マスターになってからパダワン程瞑想する機会はなかったが、一日の半分は瞑想に浸っている。
その中で、オビワンへの気持ちをどうすれば良いか、フォースに答えを求めるが何も返ってこない。Aは、ジェダイとして生きていく信念に揺らぎはなかったが、これだけは答えが決まらずに揺らぎ続けていた。

「あと2日、かぁ。」

小鳥のさえずりに、湖に広がっていく波紋。
美しい情景と相反するように彼女の顔は曇る。

Aとて、とても優秀なジェダイだが、恋愛感情はそう簡単に割り切れるものじゃない。
それに別れ方があれであると、流石に歯切れも悪いものだ。
彼女の人生の中で一番答えが出ないこの問題に、頭を抱えながら湖を眺める。

そしてその時だ。

「A」

一番呼ばれたい人の、自分の名を呼ぶ声が聞こえる。
悩みに悩んでいて気づかなかったAの背後には、愛しき人が立っていた。

「オビワン？」

あれから一週間だけであるが久しく会っていない感覚だった2人は、お互いの懐かしい姿が目に映る。この美しいという言葉だけでは足りないこの環境に、いつもより何十倍も綺麗に映った。

「どうして。」

「アナキンとコムリンクから受信元を捜した。」

時がゆっくりに感じ、何を言われるのか分からずAの心臓は早く動く。
それなのに、お互い頭ではわかっていても言葉が出ずに口を紡ぐ。

その時間に吹く風は、とてもさわやかで、木洩れ日で温かくて、気持ちがいい。
感覚が鮮明に感じ取れ、どうにか負っていた負の感情がどこかに飛んで行った。

「…すまなかった。」

そして先に言葉を発したのはオビワンだった。

「え？」

「私は、Aが私の元を離れるなんて想像もしなかった。こんな気持ちは初めてだ。」

十数年一緒に過ごしてきて初めて見るようなオビワンの様子。
Aは何か言わなくてはと思いながらも口をもごもごとさせていた。

「ジェダイとして間違っているとわかってる。だが、これだけは曲げられない。」

「どういうこと…？」

「掟に従えない。どちらかを選ばなければならないのなら、私はAを選ぶ。」

愛。→←お別れ。

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