重岡大毅、君にデレ期。

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〆．



「それでは、誓いの口づけを………」



来た。



あのセリフを言わなくてはいけないのだけれど、



どうせ私は彼のお嫁さんになれないのだ。



少しでも悲しさを減らすために、セリフを変えた。



「大毅さん。私………



私に、ウェディングドレスを着せてくれてありがとう」



着る前に死んでしまった私に。



あなたと本当に想いあって結婚したかった私に。



さあ、ヒロコちゃん、早く扉を開けて。



目を瞑ってその時を待っていると、



重岡くんの小さな笑い声が聞こえてきた。



「………………？」



不思議に思っていると、



唇に、感じるはずのない温もり。



「！？」



「もー、あかんやろ？勝手にセリフ変えたら」



「な、なんで………」



キス、しちゃった。



本当にしちゃった。



ヒロコちゃんは？



このままじゃ重岡くん、好きでもないのに私と……！！



「だーかーら。俺とAは両想いで結婚すんの。なに、信じられへん？」



「いや…………おかしい、だって台本には」



「監督・脚本・演出・主演、全部俺。監督の気まぐれで物語は大きく変わんねん。もー、俺のこと好きすぎて他の女呼び出すとことかにやにやしながら台本書いた」



「うそ………」



「こっからは台本なし。さあ、どうする？このまま俺のお嫁さん、なってくれる？」



余裕ある言葉と、真っ赤な顔。



これが夢だったとしても。



一時の幻想だったとしても。



「もちろん、なります……！」



こんな幸せなこと、絶対に逃せない。



たくさんの人の祝福を受けながら、



私は今日、大好きな人の人生のヒロインになった。



〆．

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