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「綺麗ですよね、星。」

さっきまで料理していた彼女はいつの間にか完成しており上を見上げて星を見ている。

「…ええ。こんなに綺麗に見れたのは初めてです。」

彼女は微笑んで言う


「ここはいちばん綺麗に見える秘密の場所なんですよ。星空が綺麗に見えるし、この景色を見てると嫌なこととか全部忘れられますし」


・・・確かに、この景色を見ているとなんだか僕の悩みが全部ちっぽけなことに思えてくるような気がする。だが、なぜか視界がぼやける。疲れのせいだろうか。


「!!……今は誰も聞いてませんよ。なにか泣くを程辛いことがあったんでしょう。口に出してみると案外楽になったりしますよ」


僕はどうやら泣いてしまっていたようだ。情けない、そう思いつつも彼女の優しさに少し甘えることにした。

「実は、僕、好きな人がいたんです。」

「でも、その人は僕じゃなく、兄弟と結ばれて」




「少し、辛くて、ミスも増えてしまって」



全く僕らしくない。いつも冷静に務めているし、今回だって少しショックだったが普通にいつも通り仕事に戻る予定だった。山に登るのをアズールに勧められるぐらい日常生活に支障を来すことは全くの想定外だ。自分でも信じられないが、会ったばかりの女性に話を聞いてもらうくらいには心に傷を負っていたらしい。零れてしまった本音に自分でも驚いていると、彼女は僕の背中を優しくさすり、何も言わずに僕にココアを差し出した。


「・・ありがとうございます。少し楽になりました。」


「なんの事?私何もしてませんよ」

そう言って彼女は優しく、すこし悪戯っぽく笑った。その瞬間、僕の胸が高鳴った。

「え?」

「ん?どうしました?」

いや、まさか、こんな会ったばかりの女性に、しかも先日まで好きな人がいたばかりで、

「少し顔が赤いですよ、冬だから冷えてしまったのかも。ブランケットいります?」


もしかしたら僕は、また恋をしてしまったのかもしれない。

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作者名:レイ | 作成日時:2022年1月16日 11時

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