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『ただいま』
「A!おかえりなさい!!」
事務所の扉を開けると、いつも通り笑顔をくれる蘭。
その手は受話器の上に添えられていて。
蘭が次の言葉を口にするまで、私はほんの少し思考を巡らせた。
「ごめんA…せっかく新一が電話くれたのに、お父さんがうるさくて切っちゃった…」
「オイ、俺のせいかよ!?」
予想通りの名前に笑みをこぼす。
受話器の上に手を置いたままなのは、ちょうど電話を切ったところだから。
蘭が最後まで対応してたって事は、依頼の電話ではないし…
何より、ここに新一_いや、コナン君がいないから。
確信とまではいかなかったけれど、新一と電話してたんだろうなって思った。
推理というよりこれは、ほとんど私の勘。
当たっていたようで何より、かな。
おじさんまで巻き込んでたのは、少し予想外だったけど。
『大丈夫。私は蘭ほど新一の事心配してないから…』
「そう…?ま、それもそうか。Aと新一だものね!」
蘭の言葉に私はこくりと頷いて、右手に持っていた買い物袋を胸の前に掲げてみせた。
『晩御飯、作ってくる』
くるりと踵を返す。
いや、返しはしたけれど。
『ん…言い忘れてた』
そう言って、顔だけで振り向く。
『新一は、蘭に心配してもらえるの…嬉しいと、おもう』
言いたいことを言い終え、今度こそ事務所を出る。
蘭が中で、頬を赤く染めていることなんて気づかずに。
それと、
『鍵、ない』
事務所に鍵を忘れていることにも、気づかずに。
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シエル(プロフ) - こんばんはとても面白くて続きが気になります!更新まってます! (3月26日 21時) (レス) @page11 id: cc7d10366f (このIDを非表示/違反報告)
悠依(ゆうい) - 続けてのコメントですみませんm(._.)m 物語読みました。 続きが気になります。 更新待ってますね。 (2023年4月11日 0時) (レス) @page11 id: 361e8a8309 (このIDを非表示/違反報告)
悠依(ゆうい) - こんばんは(*^^*) はじめまして。 夜分遅くにいきなりすみません。。。 物語読んでいて気が付いたのですが。。。 9のここの部分 足元をに目を向けると、そこには何食わぬ顔で俺の足の上に自分の足を置いている工藤が。 これ正しくは足元に目をではないんでしょうか? (2023年4月11日 0時) (レス) @page11 id: 361e8a8309 (このIDを非表示/違反報告)
まろん - 面白くて好きです!頑張ってください (2023年1月14日 8時) (レス) id: 8c92803490 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夢積さとう | 作成日時:2023年1月6日 21時