第9話 またね ページ10
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よくよく会話を重ねてみると、なるほど確かにコナン君はかなり頭の良い小学生のようだ。
時にその推理力をテレビからだとかなんだとか軽く誤魔化しているが、彼なら新一といい勝負のようにも思える。
帰り道を行きつつ、私はコナン君と色々な話をした。周りにこんな小さな子がいないせいか、なんだかとても可愛くて、新しい弟ができたような気持ちがした。
毛利探偵事務所のビル前まで来ると、コナン君が急に歩みを止めた。
「ここまでで大丈夫だよ」と彼が言ったので、私は少し寂しい気持ちがしたけれど、コナン君の手を離した。
「今日は楽しかった?」
「うん、すごく楽しかったよ!」
「そっか! 良かった良かった」
「じゃあまたね」とコナン君に手を振り、私は自宅に向かって、元来た道を引き返そうとした。
すると、いつかと同じように、またコナン君が後ろから声をかけてきた。
「A姉ちゃん!」
「ん?」
「また、遊びに来てね。…待ってるから!」
少し照れ臭そうにそう言ったコナン君は、私が頷くよりも先にビルの中へ駆け込んで行った。
パタパタと彼の足音がビルの中に消えていくのを耳にしながら、私はフッと笑みを浮かべると、再びビルに背を向けた。
今度遊びに行くときは、小学生の好きな漫画でも買って持っていってあげよう。あぁでもコナン君は新一に似てるから、推理小説の方が好きだろうか。
そんなことを考えながら、私は今日一日の思い出を振り返って、次会いにいく時を想像し胸を弾ませるのだった。
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「あら、コナン君帰ってたの? 映画楽しかった?」
「うん!」
探偵事務所で毛利のおっちゃんと将棋を指していると、蘭が上から降りてきて、オレに気がついて話しかけてきた。
お昼は何を食べたのかと聞かれ、それについて答えつつ、ふと、オレは昼食の時にAにした質問を思い出した。
『好きな人いるの?』
『_…いないかな』
その後の質問では、あの野球部の三年生のことや新出先生の名を挙げてきたAは、オレについてはどう思っているのか、まともに答えてくれなかった。
工藤新一として生きられない今、Aの周りに厄介な輩が現れても手が出せないというのに、不安を煽られてばかりだ。
だが、もし今後あの野球男がAに近づいたら、今度は江戸川コナンとして徹底的に邪魔をしてやる。
そう心に固く誓い、オレは意識を前に戻してそのままおっちゃんに向かって王手をかけた。
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FenGkaz710(プロフ) - 2章楽しみ (2020年6月16日 19時) (レス) id: 760679ded1 (このIDを非表示/違反報告)
琴葵(プロフ) - 面白すぎたのでシリーズ化していると思いました……。面白過ぎます!!!更新応援しています!!!シリーズ化大希望です!!!!! (2019年12月6日 3時) (レス) id: b0ea0349a7 (このIDを非表示/違反報告)
Akiko Tanei(プロフ) - 首を縦に触るのではなく、『振る』ではないですか? (2019年9月8日 11時) (レス) id: acbd1e9f39 (このIDを非表示/違反報告)
? ????? ?(プロフ) - 第1章おつかれさまでした!すごくすごく続き楽しみにしてるので更新早くして欲しいです(>_<) がんばってください!!♪ (2019年8月9日 1時) (レス) id: e7d5c65650 (このIDを非表示/違反報告)
ぽにー(プロフ) - 茅架さん» 作者様本人ではなくすいません。その文書は合っていますよ!"違わず"というのは"たがわず"と読み、間違わずと言う意味です。 (2019年8月1日 1時) (レス) id: 2d86003c92 (このIDを非表示/違反報告)
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