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第34話 初恋は色褪せる? ページ35

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 事情を汲み取った先輩は、少し儚げな顔を浮かべ、「そう…」と呟いた。その表情には何か意味が含まれているように見えて、少しだけ胸が早まった気がした。

「彼なら来てくれると思ったんだけど…忘れちゃったのかな?」

─四年前のあの告白。

 麻美先輩は確かにそういった。私は一瞬耳を疑って、「告白…?」と聞き返してしまった。
 そんな私を見て、麻美先輩は遠くを思い浮かべているように「まぁ忘れちゃうのも無理ないか…」と続けた。

「初恋なんて…いつかは色あせてしまうものだから…」

「!」

 初恋。告白。
 麻美先輩が新一の初恋の人なんだ。
 新一の初恋の人、と知った途端に私の胸がどきりとした。

 確かにこんなに優しくて、気立ても良くて美人な先輩で、しかもマネージャーなんて…少女漫画のヒロインが現実に飛び出たような人だもの。
 新一のその事実は、やけにすんなりと胸に馴染んだ。

「…なるほど…読めたわ完全に」

 言葉を忘れていた私や蘭の前で、即座に余裕ありげな顔に戻った園子は、どうしたのかと私が視線を送ると不敵な笑みを浮かべた。

「中一の時噂になってたのよ、一年ボウズが麻美先輩に言い寄ったって…」

「い、言い寄ったんだ……新一…」と私は普段のキザな新一からは想像できぬ過去に愕然としていた。

「その身の程知らずが工藤新一だったんですね!!」と園子が先輩に詰め寄る。先輩は苦笑いを口の端にのぼらせて首を横に振った。

「言い寄ったなんてウソよ…あれはちゃんとした告白…」

 ズキ、と胸に痛みが走った。
 あ、なんかやだ。咄嗟にはたきを持って、皆が話に夢中になっている中、本棚の方をそっと向く。

「それにあれは…」と先輩が続けようとした。
 すると急に「あ、あのさぁ!!」とコナン君が大声をあげて話を遮った。そんなコナン君らしからぬ大声に驚き、私も振り向いて彼を見た。

「新一兄ちゃんが来られないんなら誰か別の人を呼んだら?」

 コナン君の提案に麻美先輩は戸惑いながら頷く。すると、園子が一際声を明るくして「じゃあ」と言った。

「私達なんてどうです?」

「え?」と私と蘭が呆気にとられている合間にも、園子は「これでも私達推理で事件を解決したことあるんですよ!」と押し売りをしていく。確かに以前蘭も園子も事件を解決したことがあるが、私は事件に関わった経験は殆どない。
 それを言おうとした私の前に園子がバッと手を広げて、「シーッ」と密かに人差し指を立てた。


 

第35話 先輩と私→←第33話 来訪者



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FenGkaz710(プロフ) - 2章楽しみ (2020年6月16日 19時) (レス) id: 760679ded1 (このIDを非表示/違反報告)
琴葵(プロフ) - 面白すぎたのでシリーズ化していると思いました……。面白過ぎます!!!更新応援しています!!!シリーズ化大希望です!!!!! (2019年12月6日 3時) (レス) id: b0ea0349a7 (このIDを非表示/違反報告)
Akiko Tanei(プロフ) - 首を縦に触るのではなく、『振る』ではないですか? (2019年9月8日 11時) (レス) id: acbd1e9f39 (このIDを非表示/違反報告)
? ????? ?(プロフ) - 第1章おつかれさまでした!すごくすごく続き楽しみにしてるので更新早くして欲しいです(>_<) がんばってください!!♪ (2019年8月9日 1時) (レス) id: e7d5c65650 (このIDを非表示/違反報告)
ぽにー(プロフ) - 茅架さん» 作者様本人ではなくすいません。その文書は合っていますよ!"違わず"というのは"たがわず"と読み、間違わずと言う意味です。 (2019年8月1日 1時) (レス) id: 2d86003c92 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:黒猫@さかなねこ | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2019年6月18日 21時

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