第30話 雑談 ページ31
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コナン君が新一と同一人物だなんていうあらぬ疑いをかけた時から少し経った今も、相変わらず幼馴染の姿は教室になかった。
「でもA、小学生に面影重ねたってちょっと…」
「わ、わかってるよー…でも蘭だって勘違いしたって言ってたし、そのうち園子だってそう感じるかもしれないよ」
「ないない、絶対ないわ」
購買で菓子パンを購入する私の横で、大袈裟に園子は手を振った。
「大体あんなガキんちょの何処が高校生ぽいのよ? どっからどうみても只の小学生じゃない」
「高校生ぽいっていうか…推理力とか本当に新一並みに凄いんだもん…」
「例えばどんなよ」
「私が嘘ついたらすぐ見抜くの」
「何言ってんのよ、Aは元から嘘をつくの下手じゃない。ダメダメそんなの! この推理クイーン鈴木園子様の方が百倍推理出来るわよ」
また言ってるよ、と私は園子を遠い目で見た。
聞くところによると、以前別荘で殺人事件が起こったときに、何と『眠りの小五郎』よろしく『眠りの園子』が生まれたのだという。
幸いにしてその殺人事件が起こった日、私も園子に招待はされていたものの、祖父母の家に用事があって断っていた為死体を見る事はなかった。
「推理といえば、また近いうちに、新一の家掃除しに行かなきゃね。本、埃被っちゃうし」
「A、世話焼きも大概にしないと、ズブズブ付け込まれるわよ!」
「付け込まれるって…」
「それにしても、工藤君いつになったら戻ってくるつもりなのかしら」
新一がいなくなってからもう三ヶ月。
二週間に一度くらいは屋敷の簡単な掃除に行くものの、大きな掃除はあまりできない。
「夏休みがきたら蘭と一緒に図書室を掃除しようかなって話中なんだけど……ね、園子も…手伝ってくれたり…」
私の渾身のお願いに、園子はあからさまな嫌な顔を見せたが、「仕方ないわね」と渋々首を縦に振ってくれるのだった。
「じゃあ再来週の日曜日、工藤邸に集合ね」
「まったく、これで掃除してもあの探偵君からは一言もお礼が来ないんだから」
ブツブツと文句を言う園子を宥めつつ、階段を登る。廊下にはりだされた掲示板には、『夏休み後の学園祭について』と生徒会からのお知らせが貼ってある。
学園祭はまだそれなりに先だったとおもっていたが、もうあと二ヶ月ちょっと。クラスは劇をすると既に決めているらしいが、新一は来るだろうか。
きっと新一なら主役に抜擢されるだろうに、ふとそう思った。
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FenGkaz710(プロフ) - 2章楽しみ (2020年6月16日 19時) (レス) id: 760679ded1 (このIDを非表示/違反報告)
琴葵(プロフ) - 面白すぎたのでシリーズ化していると思いました……。面白過ぎます!!!更新応援しています!!!シリーズ化大希望です!!!!! (2019年12月6日 3時) (レス) id: b0ea0349a7 (このIDを非表示/違反報告)
Akiko Tanei(プロフ) - 首を縦に触るのではなく、『振る』ではないですか? (2019年9月8日 11時) (レス) id: acbd1e9f39 (このIDを非表示/違反報告)
? ????? ?(プロフ) - 第1章おつかれさまでした!すごくすごく続き楽しみにしてるので更新早くして欲しいです(>_<) がんばってください!!♪ (2019年8月9日 1時) (レス) id: e7d5c65650 (このIDを非表示/違反報告)
ぽにー(プロフ) - 茅架さん» 作者様本人ではなくすいません。その文書は合っていますよ!"違わず"というのは"たがわず"と読み、間違わずと言う意味です。 (2019年8月1日 1時) (レス) id: 2d86003c92 (このIDを非表示/違反報告)
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