第２１話 弱気な自分 ページ22
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家にも帰らずに、無我夢中で走り、足が疲れてからはトボトボと歩き回っていると、辺りはすっかり真っ暗になっていた。幸い場所は知っている場所だったが、随分遠いところに来ている。
帰らなきゃ…と思ったその時、ポケットに入れていた携帯が鳴り出した。
そこに記された番号は、蘭のもの。心臓が嫌な音をたてた。
なんだか怖い。きっと新一を捕まえたとか、そういうことだ。取ったら新一と会うことになるかもしれない。でも、蘭は私のために…そう思い出して、私は恐る恐る通話ボタンを押した。
「もしもし…？」
『A！？ アイツ量子さんの家に居たみたいで、今、直樹って人の家に逃げ込んでるのよ！！ 量子さんから聞いた住所は＿』
走りながらなのか、息を荒くしつつも蘭は私に新一の居場所を教えてくれた。
『Aも来なさい！ ちゃんと、新一を
「……うん。…蘭、ありがとう…」
電話を切る。たしかにそのビルならここから歩いて十五分もかかるまい。先程の蘭の怒りのこもった熱い台詞が、ビリビリと胸に響いていた。
殴る殴らないは抜きに、ちゃんと新一の顔を見なくては。こんな弱気なままでは駄目だ。
私は涙の枯れた瞳をしっかりと開き直して、今度こそ足取り強く走り出した
この角を曲がった先にあるビルだ。私は息を切らしながら、角を曲がった。すると、見覚えのある女子高生が先のビルから飛び出してきた。
「新一！」と叫んでいた蘭は、私の姿を見ると「こっちよA！」と大声をあげた。
「今ちょうどこの先に逃げ込んだわ、早く行って！」
ビルとビルのそこそこ広い隙間を指差すと、蘭は私の返事を待たずに背を押してきた。確かに誰かが物陰に走り込んだ影が見えた。私ははやる胸を押さえて、中に進んでいった。
奥から、新一のものらしき携帯の着信音が聞こえる。まだそこにいるのだ。すぐに音がやんだ。
「し…新一！」
私はようやく彼の名を呼んだ。
「新一…どうして何も言ってくれなかったの？ じ…事件に関わってたの…嘘だったの？」
量子さんの家に居たのだと、蘭は電話で言っていた。それが本当なら、彼は学校を休んで彼女の家で過ごしていた、ということだろうか。
「か、彼女のことだって…いるなら、一言くらい教えてくれたって良かったのに…！ 私、なんにも…！！」
「だ…だからあの子はただの…」と遂に物陰から新一の声がした。
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FenGkaz710(プロフ) - 2章楽しみ (2020年6月16日 19時) (
レス) id: 760679ded1 (このIDを非表示/違反報告)
琴葵(プロフ) - 面白すぎたのでシリーズ化していると思いました……。面白過ぎます！！！更新応援しています！！！シリーズ化大希望です！！！！！ (2019年12月6日 3時) (レス) id: b0ea0349a7 (このIDを非表示/違反報告)
Akiko Tanei(プロフ) - 首を縦に触るのではなく、『振る』ではないですか？ (2019年9月8日 11時) (レス) id: acbd1e9f39 (このIDを非表示/違反報告)
? ????? ?(プロフ) - 第1章おつかれさまでした！すごくすごく続き楽しみにしてるので更新早くして欲しいです(>_<) がんばってください！！♪ (2019年8月9日 1時) (レス) id: e7d5c65650 (このIDを非表示/違反報告)
ぽにー(プロフ) - 茅架さん» 作者様本人ではなくすいません。その文書は合っていますよ！"違わず"というのは"たがわず"と読み、間違わずと言う意味です。 (2019年8月1日 1時) (レス) id: 2d86003c92 (このIDを非表示/違反報告)
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