第2話 はじめまして、コナン君。 ページ3
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蘭達の住む部屋の真下に毛利探偵事務所があり、そこには今世間を騒がせている名探偵、毛利小五郎という蘭のお父さんがいる。
『眠りの小五郎』という名で、今お茶の間を賑わせている小五郎のおじさんは、普段はそんな様子がさっぱりないのだから、流石というところである。
久しぶりにおじさんに挨拶をしてから、部屋にお邪魔したいと言った私に、蘭は、この時間なら、コナン君もいるだろうから丁度いいと言って頷いた。
階段を登ると、向かって左に探偵事務所の扉がある。私は挨拶とともに中に入った。
「おう、Aちゃんじゃねーか!」
「おじさん! お家お邪魔します…あ」
ソファに座っている小さな影に気がつく。パチリと円らな瞳と視線が交わった。
漫画本を膝の上に開いて、目を瞬かせて私を眺めるメガネの少年。きっと彼が蘭や園子が言っていたコナン君なのだ。
「A……」と一瞬その子がつぶやいたように聞こえて、私は「え?」と聞き返した。
「あ、えっと、お姉さん、蘭姉ちゃんのお友達?」
「うん。君は…」
コナン君かと私が聞こうとすると、彼は雑誌を脇に退けてぴょんと軽くソファから降り、私の方にやってきた。
「ボク、江戸川コナンっていうんだ。お姉さんは?」
「私は楠木A。よろしくね、コナン君」
腰をかがめてコナン君が差し出した手を軽く握る。小さな掌が可愛くて、思わずフッと笑みがこぼれた。すると、コナン君も子どもらしいあどけない笑みを見せた。
なんだか懐かしい笑顔だと、一瞬そう思った。
「でも…さっきコナン君、私の名前呟かなかった?」
「ううん? 聞き間違いじゃない?」
「そっかそっか」
キョトンと不思議そうに首を傾げたコナン君に、私はごめんねと言ってまた背を伸ばす。先に上にいった蘭や園子達がきっと待っている。
小五郎おじさんにまた軽く挨拶をして、私は事務所から出た。三階に上がろうと階段を登ったその時、後ろから「待って!」と声がかかった。
私を追いかけてきたのか、事務所の扉の前でコナン君が私を見上げている。私は足を止めて、コナン君の方へ引き返した。
「どうしたの?」
「あ……A姉ちゃんさ…」
少し目を右往左往させるコナン君は、何を言おうか迷っているように見えた。うん、と頷きしゃがみこんでコナン君に目線を合わせる。
「新一兄ちゃんって、知ってる?」
「え?」
突然出てきた思いがけない人の名に、私は目を二、三度瞬かせた。
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FenGkaz710(プロフ) - 2章楽しみ (2020年6月16日 19時) (レス) id: 760679ded1 (このIDを非表示/違反報告)
琴葵(プロフ) - 面白すぎたのでシリーズ化していると思いました……。面白過ぎます!!!更新応援しています!!!シリーズ化大希望です!!!!! (2019年12月6日 3時) (レス) id: b0ea0349a7 (このIDを非表示/違反報告)
Akiko Tanei(プロフ) - 首を縦に触るのではなく、『振る』ではないですか? (2019年9月8日 11時) (レス) id: acbd1e9f39 (このIDを非表示/違反報告)
? ????? ?(プロフ) - 第1章おつかれさまでした!すごくすごく続き楽しみにしてるので更新早くして欲しいです(>_<) がんばってください!!♪ (2019年8月9日 1時) (レス) id: e7d5c65650 (このIDを非表示/違反報告)
ぽにー(プロフ) - 茅架さん» 作者様本人ではなくすいません。その文書は合っていますよ!"違わず"というのは"たがわず"と読み、間違わずと言う意味です。 (2019年8月1日 1時) (レス) id: 2d86003c92 (このIDを非表示/違反報告)
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