第１１話 親しい男 ページ12
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「冗談ばっかり」とAが園子に言い返すのをオレは呆然としてみていた。
一緒に仲良く下校するような男？ Aに？ 少なくともオレが学校にいた頃は、そんな男は一人も…。
Aは焦った様子で園子の言葉を正そうとしていたが、その男については少しも明かさなかった。むしろ、仲が良いのは真実なのだとはっきりわかる態度だった。
「ねえ、A姉ちゃんその人って＿＿」
「あッいけない、人と約束してたんだ！ ごめん園子、これ私の分払っといてくれる？」
腕時計を見て、急いでコーヒーを飲み干し、Aは立ち上がった。財布から千円札を取り出すと机に置いて、慌ただしく外へ出て行く。
オレは半ば置いていかれるような形でその背を眺めた。
「フーン、人と約束って、なんか怪しいわね…」
「…園子姉ちゃん何か知ってるの？」
「何も…って…あ、ヤバイ、私もいかないと。ほらガキんちょ早く飲みなさいよ」
園子に急かされるままオレは飲み物を飲みきって、ポアロを出た。園子は「ちゃんと戸締りするのよ」と言って反対方向に歩いて行く。
その背を見届け、オレは渋々と探偵事務所の方へ戻った。
一緒に下校する仲のいい男。
放課後に待ち合わせしている誰か。
今日だけでも突然二つの不安要素が生まれてきた。
「アイツの親はどっちも出張中だから…待ち合わせはあり得ねーし……」
壁掛け時計は六時前を指している。待ち合わせている人物を推理するにも、圧倒的に材料が足りず、まるで霧の中を覗いているような気分だった。
全く相手が読めないことに苛立ちが募ったオレは、外に出ると携帯電話を取り出し、下に発信を非通知に切り替える付属品をつけて、Aの携帯に電話をかけた。
数秒経った後、コール音が響く。
『もしもし』
「よぉA、元気してるか？」
『新一！』
変声期を口元に近づけながら、本来の自分の声で携帯に話しかける。
率直に、「今何してるんだ？」とオレは問いかけた。すると、Aは慌てた声で返事を返してきた。
『ごめん、今ちょっと時間がなくて…また後でかけて！』
「え？ おッおい、A？」
珍しくも、一方的にAから通話を切られてしまったオレは、冷や汗をかきながら手元の携帯電話を睨みあげた。
こうなったら、意地でも相手を掴んでやる。事務所の中で酔いどれになっているおっちゃんに「ちょっと出かけてくるね」と一応言い残し、オレはそのままビルから駆け出した。
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FenGkaz710(プロフ) - 2章楽しみ (2020年6月16日 19時) (
レス) id: 760679ded1 (このIDを非表示/違反報告)
琴葵(プロフ) - 面白すぎたのでシリーズ化していると思いました……。面白過ぎます！！！更新応援しています！！！シリーズ化大希望です！！！！！ (2019年12月6日 3時) (レス) id: b0ea0349a7 (このIDを非表示/違反報告)
Akiko Tanei(プロフ) - 首を縦に触るのではなく、『振る』ではないですか？ (2019年9月8日 11時) (レス) id: acbd1e9f39 (このIDを非表示/違反報告)
? ????? ?(プロフ) - 第1章おつかれさまでした！すごくすごく続き楽しみにしてるので更新早くして欲しいです(>_<) がんばってください！！♪ (2019年8月9日 1時) (レス) id: e7d5c65650 (このIDを非表示/違反報告)
ぽにー(プロフ) - 茅架さん» 作者様本人ではなくすいません。その文書は合っていますよ！"違わず"というのは"たがわず"と読み、間違わずと言う意味です。 (2019年8月1日 1時) (レス) id: 2d86003c92 (このIDを非表示/違反報告)
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