第27話 消えぬ確信 ページ28
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「Aもそう思った? でもね違うのよ」
「違う?」と訝しむような顔をした私に、一つ頷いて蘭は話を続けた。
「疑ってた時に、急に新一から事務所に電話がかかってきたの。でもその時、コナン君は後ろにいたのよ」
だから新一とコナン君は別人だ。そう言い切った蘭に、どこか腑に落ちない私は「でも…」と諦め悪く言い返した。
「江戸川コナンなんて名前、新一がつけたとしか思えないよ……」
「あぁ、それはね。コナン君のご両親がコナン・ドイルのファンだったからだって…」
「外国じゃ普通だけど、日本じゃ凄い痛ネームよね」と園子が相槌を打つ。私はそれでもどこか納得ができなかった。
私も、新一が電話をしてくれた時にコナン君が近くにいれば、蘭のようになれただろうか。
「……確かにそうだよね、私何言ってんだろ、もう。アハハ」
私は表情を和らげてみせた。あっさりと撤回した私に、園子は「頭でもぶつけたのか心配しちゃったじゃない」と肘で軽く突いてくる。
「それにコナン君と新一が似てるのは、新一のお母さんによると遠い親戚だからなんだって、確か…新一のお母さんの祖父の兄の娘の……なんだったっけ」
なんだか非常に胡散臭い関係図だが、それなら新一と似ているのにも理由がつくのだろうか。
「でも…それじゃ新一は阿笠博士の親戚になるの?」
「そうみたい」
「えー? じゃあ新一君も将来あんな風に禿げちゃうってこと?」
園子のその言葉を発端に、蘭と園子は二人でワアワアと歓談を繰り広げた。私はそれに時たま頷いたり言葉を挟みつつも、頭はずっとコナン君のことに向かっていた。
それから私は赤信号で止まった時、気になって携帯であることを調べてみた。
検索結果には『約130』という数字が出てくる。これは、全国の江戸川姓の人数で、全国的にみても非常に珍しい名字ということだ。
しかし、数は少なくとも居るには居るのだから、これでは確かにコナン君が偽名を使った新一だとは断定できない。
胸に消化できない思いがわだかまり、私はひっそりと長い息を吐いた。
蘭の説得を受けても、自分で考えてみても、先程胸に抱いた確信が消えないでいる。
きっと、新一に会いたい気持ちのせいだ。
大体人間が子どもまで若返るなんて、現実的にあるわけないもの。
小さい小学生にまで新一の面影を押し付けてしまうなんて、情けない。私は早く忘れようと思い直し、二人の会話に意識を戻した。
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FenGkaz710(プロフ) - 2章楽しみ (2020年6月16日 19時) (レス) id: 760679ded1 (このIDを非表示/違反報告)
琴葵(プロフ) - 面白すぎたのでシリーズ化していると思いました……。面白過ぎます!!!更新応援しています!!!シリーズ化大希望です!!!!! (2019年12月6日 3時) (レス) id: b0ea0349a7 (このIDを非表示/違反報告)
Akiko Tanei(プロフ) - 首を縦に触るのではなく、『振る』ではないですか? (2019年9月8日 11時) (レス) id: acbd1e9f39 (このIDを非表示/違反報告)
? ????? ?(プロフ) - 第1章おつかれさまでした!すごくすごく続き楽しみにしてるので更新早くして欲しいです(>_<) がんばってください!!♪ (2019年8月9日 1時) (レス) id: e7d5c65650 (このIDを非表示/違反報告)
ぽにー(プロフ) - 茅架さん» 作者様本人ではなくすいません。その文書は合っていますよ!"違わず"というのは"たがわず"と読み、間違わずと言う意味です。 (2019年8月1日 1時) (レス) id: 2d86003c92 (このIDを非表示/違反報告)
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