【名探偵コナン】 My Precious _ 2 【男主】 (ページ48)

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File：96￤結末￤第三者side ページ48

「どーせ、あんたも上のふたりも捕まっちまう」

コナンは上に他のふたり ── ジンとウォッカ ── が居る事も話し、そして何故…取り調べの際に紫色のハンカチを持っていたのかを尋ねる。然し、ピスコは世の中には知らなくていい事も有ると答えはしなかった。

「それに状況を良く見ろ！警察なんか呼べやしない…」

「良く見るのは貴方の方かと。…枡山さん」

決してピスコの方は見ようとはしないまま、淡々と口にするA。拳銃を持つ相手に背を向けるのは大した度胸。然し、その真意を気付く者は居ない。

「あんたの足元、それはスピリタス。アルコール度数96パーセントと言う強烈なお酒。馬鹿じゃないなら分かる筈だ。アルコールが気化したこの空間でタバコを吸っていれば、どうなるか」

ピスコがタバコを吸う事を知っていたのか、拳銃で発砲した際に散る火花を利用しようとしたのか定かでは無いが…意味が有って、スピリタスの入った箱に設置されたスピーカー。

ピスコが理解したと同時に、あっという間に燃え上がる炎。コナンの背に哀を乗せると先に行くように促すA。

頷いた彼の背を見送った後、Aはいつでも逃げられる体勢で、未だ炎の中に居るピスコを見詰める。 ── 然し、彼の側に在る暖炉から現れた銀髪に小さく息を飲んだ。( 工藤の言う通り、来てたのか )

燃える音に紛れて聞こえるのは僅かな声。幼児化の件は今のところ、口にしていないと安堵する中、倒れたピスコ。額から血を流す彼と、サイレンサー付きの拳銃を持つジン。撃たれたであろう事は一目瞭然だった。

( 恐らく、即死 )

命の価値は等しいと誰かが言うけれど、現実はそうではない。── 少なくとも、Aは18年間生きて来てそう感じていた。

引き金ひとつで人の命を簡単に奪えてしまう現実もそうだが…家族を救うか、赤の他人を救うか。その二択を迫られた時、過半数以上の人が前者を選ぶだろう。

天秤に掛けられてしまう時点で、平等とは言えなくなるが…現に今のAは前者を選んでいた。── 幼児化の秘密を知る者が居なくなった事に安堵してしまっていたのが、その証拠である。

これ以上の長居は無用と、酷く波打つ心臓を押さえながら細心の注意を払って外へと出た。バイクの元へと急げば、未だ博士の車があって。

「ピスコがジンの手で射殺された。だが、幼児化の件はバレて無いと思って良い。取り敢えず此処を離れろ」

これからどうするのかはお前に任せると着けていた眼鏡をコナンに渡しながら続けると、コナンも受け取りながら素直に頷いた。

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