【名探偵コナン】 My Precious _ 2 【男主】 (ページ32)

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File：80￤停電￤第三者side ページ32

「いや、そんな初歩的な事に気付かんとは…こりゃ一本取られましたなァ！」

「いえ…」

正論とも言える言葉に、はにかみながら口にする小五郎。そんな彼に、あれじゃーどっちがホームズか分かんないね…と隣に座る蘭に話し掛けるコナン。然し彼女の意識は完全に智明の方に向いているように見え、返事は無かった。

「しかし、御主人遅いですな…診察時間は過ぎているはずなのに…」

「風呂じゃよ…」

「え？」

時計を見ながら呟いた小五郎に反応したのは、智明では無く…いつの間に入って来たのか、コナンとそんなに身長は変わらないであろう老人 ── 智明の祖母・ミツであった。

「あの男は晩飯の前に風呂に入るのがクセなんじゃ…誰よりも先に入って湯を汚しよる…」

「おばあちゃん！またそんな言い方して…」

「しかし一番風呂とは流石、一家の大黒柱！」

「フン！何が大黒柱じゃ！入り婿の分際で大きな面しおって！！」

「おばあちゃん！」

「この家でワシと血が繋がっておるのは、もはや孫のおまえ、ただ一人！そのおまえが今月かぎりでこの家を去るとはな…ワシに死ねと申すか！？」

義輝の存在を快く思っていないのか、全体的に棘の有る話し方をするミツに、窘めるように言葉を発する智明と戸惑うしか無い小五郎。

出て行くミツに電話していた陽子が夕飯は？と慌てて声を掛けるものの、よそ者同士で勝手に食うがいいわ！と自室へと戻って行く。

扉を開けっ放しで出て行ったミツに、閉めてから気にしないで下さいと小五郎達に声を掛ける智明。トイレや風呂を洋式に変えられて機嫌が悪いんだと続けた。

「ウソ…停電？」

「でもこの家だけみたいだよ…隣の家の明かりはついてるし…」

苦笑しながら再び席に着こうとした時、突如真っ暗になった視界。不安がる蘭の声に、いつの間にか窓の方へと移動したコナンがそう答えた。

何かが落ちた音。ひかるの短い悲鳴。その悲鳴に大丈夫？と答える陽子の声。動かないで下さい！と安全を確保しようとする小五郎の声。懐中電灯を探す智明の声。

色んな音と声が聞こえる中で、懐中電灯を見つけたのか一部が光に照らされる。ブレーカー見てくると名乗り出たひかるに、未だに電話していた陽子が足元に気を付けてと声を掛けた。

「やだ、これ雨の音じゃない？」

「そだね…」

「停電に雨かよ…最低だな…」

突然、ザーッと聞こえた音。どうやら外では雨が降り出したようで。益々不安がる蘭にコナンと小五郎は冷静に言葉を続けた。

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