【名探偵コナン】 My Precious _ 2 【男主】 (ページ17)

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File：65￤未来の話￤主人公side ページ17

「Aさー、進路とか考えてる？」

「急にどうした」

「いやさ、昨日言ってたけど…もう直ぐ進路指導とか三者面談とか有るじゃん？周りに合わせて念の為に勉強はしてるけど、そろそろ真面目に考えねーとなあって」

黒羽家にお邪魔してからまた数日。昼休みに外で食べようと言う香月の誘いを断る事もなく、やって来た屋上。

自販機で買って来たのか、紙パックのジュースをストローで飲みながらぼんやりとそう呟く香月。( 昨日から、ずっと考えてたのか ) ( それに唐突に話を切り出す事、増えたな )

刻々と流れる時の中…高校最後の俺たちを一番悩ますのは恐らく、進路。大学に行くも良し、就職するも良し、やりたい事が有ればその道に走るも良し。

一見、選択肢は多いように見えるけれど…成し遂げるのは決して安易な事ではなくて。( だからこそ、こんなにも悩むのだろうけど )

「両親には相談したのか」

「んー、母さんは好きな事しなさいって言うからなあ。バスケ続けるなら続ければ良いし、大学は奨学金借りたり、バイトはし無くちゃ行けないけど…選択肢としては有りでしょってさ」

「おじさんは」

「警察官は大変だけど、良いぞーって言ってた。一緒に働くのは想像出来ねえけど」

苦笑気味に続けられた言葉に思わず肩を竦めてしまったけど、言わんとしている事が分からなくもない。( …俺も父さんの下で働くとなると、今とはまた意識は変わって来るんだろう ) ( 其の前に入れるかどうか＂以前＂の問題だが )

――「シグはさ、大きくなったら何になりたい？夢は有る？」

――「さあ、特には」

――「なんだよ、面白く無いなあ」

――「煩いな。…そっちは？何か有るの」

――「おれ？おれはね ── 」

「 ── おーい、A？」

「…ッ、なんだ」

「？なんだって、呼ぶ掛けても反応しねえからだろ。ペットボトル落としたぞ」

不意に蘇った小さい頃の記憶。思いの外、意識を飛ばしてしまって居たようで、自らの手に持っていた筈のペットボトルは香月の手に。差し出した彼に悪いと短く返して、鞄にそれを仕舞った。

「やっぱ、進路はAでも悩むんだ」

「…一生が掛かってるとまでは言わないが、自分が何をしたいかは大事だと思ってるからな。俺だって悩むよ」

それもそうだよなーと立ち上がって、ぐっと背伸びをした香月。それと同時に予鈴が鳴って、俺も立ち上がると何方から共無く教室へと戻った。

( ── あの時、彼奴(・・)は何て言ったっけ )

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