梅雨ちゃんの髪型3 ページ11
「…また今日も違うんだな」
それから3日間、長い彼女の髪は、三つ編み、ポニーテール、お団子と毎日変わっていた。
そして本日金曜日、今日は髪をサイドに垂らして三つ編みがしてある。
「また麗日か」
「いいえ、今日は透ちゃんよ」
なんかこの髪型見たことあるなー、と思ったらそういえば塔に閉じ込められた髪の長いお姫様かなんかがいたな、と思い出す。
「塔の上のラプンツェルみたいでしょ！」と葉隠が言い、ああそういえばそんな名前だったと思った。
「先生どれが好きですか？」
切島が相変わらずツンツンさせた頭で、そう聞いて来た。
「…………どれって」
なにが、と聞くと「梅雨ちゃんの髪型」と返された。
「俺ポニーテール好きだった」
「男はみんなポニーテール好きだろ」
ワイワイと話し始めて一気に教室が騒がしくなる。
さてどうしたものかと思い悩む。
答えない、となると今度は不満でうるさくなるだろう。
そして教壇に立つたびに何度も聞かれる可能性大。
そんなのは面倒くさいし、合理的じゃない。
かと言って、相澤にはこれといってこれがよかった、という髪型も思いつかない。
似合ってなかった、というわけではなく、蛙吹という感じがしなくて違和感の方が大きかったのである。
「で、先生は？！」
そう思っている内にみんなのそう聞かれる。
シーン、と一気に静かになってみんなが自分の答えを待っていた。
ったく、なんで子供ってこういう時の団結力が強いんだよ。
「先生」
塔の上のラプンツェルらしい、蛙吹が申し訳なさそうに話しかけて来た。
「答えにくかったら答えなくていいわ。
みんなちょっとふざけてるのよ」
相澤が困っていたのを見越してか、そうじゃないのか。
そう言ってくれた。
「いや、蛙吹が似合ってなかったとかそういうわけじゃないんだが…」
どうやら蛙吹は自分が似合っていなかったから俺が悩んでいると思ったらしい。
そういうわけじゃないんだが…どう答えたものか。
(あ…そうか)
「いつもの」
違和感を感じていた、ということはどうやら俺は自分が思っている以上に蛙吹のあの、リボンのような髪型が気に入っていたらしい。
「いつものが1番良いと思う。
蛙吹らしいし」
もうしないのか、あの髪型。
そう聞くと蛙吹は照れたように、でも心底嬉しそうに笑った。
「いいえ、先生。
私も一番あれが気に入ってるの」
そう言って、蛙吹が「ケロ」と楽しそうに弾んだ声を上げた。
END
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まつりこここ - めっちゃにやにやしちゃいました…とにかく梅雨ちゃんが可愛かったです!! (2018年10月9日 21時) (
レス) id: 82b25ccfa7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：園田丸 | 作成日時：2017年1月26日 17時
