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XV 約束 ページ1









月下の奇術師と呼ばれたその男は、一人で昔の約束を思い出していた








『わぁ、私が選んだのなんで分かったの!?凄いね!!』








『俺にかかればそんなの余裕だぜ!』








『ねぇ、そのハートのKのトランプ破れてない?』








『あ!本当だ。俺、このセットのトランプしか持ってないのに……』








『このトランプあげる!』








『えっ、でも…』








『快斗お兄ちゃんはお父さんを超えるマジシャンになるんでしょ?そんなマジシャンにトランプ使ってもらえるのはいい事だもん』







『絶対に親父を越すマジシャンになるからな!』








『そしたら、そのトランプですっごいマジック見せてね!約束だよ!!』








一度パーティで会ってそれっきり。そんな幼少期に出会った少女に快斗はずっと恋焦がれていた。ようやく見つけたと思ったら、何やら他にも指切りで約束してる奴がいるっぽいし、アイツの過去にも色々あるし。初恋の少女は中々に難しい立ち位置だったのだ







「にしても、高校生探偵に公安にFBIに機動隊に。一体何人と約束してんだよ」








中には結婚の約束をしたとかなんとか。それにしても相手が悪すぎる。警察に探偵とか、怪盗やってる俺に絶対悪意あるだろ。ライバル怖すぎる







こないだのベルツリー急行の時のヤバそうな組織に、スパイとして潜入してるやつとか。危なすぎて、正直関わりたくない。そしてAにも関わってほしくない。これ以上昔の事を思い出させるのは酷だからな。本当は俺の正体を匂わすことも言いたくなかったけど、思い出して欲しいという欲には抗えなかった







ハートのK:尊敬される父親

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作者名:モカロール | 作成日時:2022年7月20日 21時

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