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帝王の誤算3 ページ7
突然、辺りが一瞬暗くなった。
禍々しい空気が漂う、がすぐにいつも通りに戻る。
しかし、鬼たちの様子がおかしい。
慌てる者や怯える者や畏まる者、全てに共通しているのが極度の緊張感だ。
「何でしょうか。まぁ、私には関係ありませんがね」
一度振り返り彼らに目をやったが、また前を向き直り自分のテリトリ―へと向かう。
刹那、私の時は止まった。
全身に鳥肌が立つ感覚。
冷汗がたらりと頬を伝う。
「A………?」
そこに立っていたのは、紛れもない彼女の姿。
後ろの方で何やらまた騒ぐ声がするがそんな雑音、耳には入らない。
全神経が彼女の姿を捉えようと、彼女の声を聞き漏らすまいと集中する。
ぽつりと彼女が口を開いた。
「フリーザ。あの時のプロポーズ…、まだ有効………?」
これまで彼女の涙など見たことがない。
この人には弱さというものは存在しないのだろうとすら思うほどに、彼女は強かった。
そんな彼女の、初めて見せる弱み。
なるほど、辻褄が合った。
「えぇ、勿論ですよ。」
今はただ、泣き崩れる彼女を抱きしめることしかできない。
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作者名:piace | 作成日時:2018年5月7日 22時