人間を愛したかみさま【短編】 (ページ6)

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帝王の誤算２ページ6

地獄の中央には大きな水晶があり、そこで‶この世〟の映像を見ることができる。
地球であの鬱陶しい緑虫が孫悟空たちと戦っていた様子もここで見ていた。
あいつはまた強くなったのだろう。
その上なんとベジータまでもが超サイヤ人になっていた。
なんとも忌々しいことだ。

それより気になったのが、その周りでウロチョロしている一人の女。
戦闘力があるようには見えないが、孫悟空の仲間だろうか。
「ちょっとそこの貴方。」
近くで共に観戦していた鬼に尋ねる。
こんなのでも一応はこの世の管理者の一人。
何か情報をもっているだろう。
「な、何だオニッ！」
「あの赤子を抱いた女。彼女は何者ですか」
「えっと、ちょっと待って欲しいオニ」
そういうと何処から取り出したのかこの世とあの世の人間のデータが入っているという端末機器を取り出して調べだした。
あの機械はもしかすると彼女を見つけるのに使えるかもしれませんね。
今度奪ってみましょうか。
「あったオニ。ブルマという名で、孫悟空の子供のころからの仲間オニ。抱いているのは…、ベジータとの子供オニね。」
「は？今なんと」
ベジータとの、子供？
そんなことがあるはずない。
ベジータは彼女と結婚しているのだから。
「だからブルマとベジータの子供オニ。フリーザがここに送られてきたときにはもう生まれているオニ」
聞き間違いじゃ、ない？
どういうことだ。
何故彼女以外との女の間に子供が？

「どこ行くオニか⁉」
「もう見飽きました。私は戻ります。」

このまま見続けていても気分が悪くなるだけだ。

それにしても何が起こっている？
まさか惑星ベジータと共に死んだのか？
いや、それはあり得ない。
ベジータが長期任務に出てから数日後に彼女は星を離れたはずだ。
彼女を巻き込まないために入念に確認をした。
では何故？
二人が別れたなどの報告は一切受けていないし、そのような素振りなど一切なかった。