神に魅入られた宝石3(ザーボン) ページ12
『ザーボン、今日は私にお手入れさせて頂戴』
フリーザ軍で彼女が働きだしてから、幾度となく聞いてきたこの台詞。
仮にも既婚者であり、いくら下等種族といえども一民族の姫という立場にある彼女と入浴を共にするというのは考えられない事だった。
私はいくら美しいといっても一人の男。
彼女はフリーザ様のお気に入りというのだから余計だ。
いくら断っても毎日毎日同じことを言いに来る彼女に根負けし、今回だけだと了承してからというものは、抵抗感が徐々に薄れ、地獄へ来てからも定期的に共に入っている。
「あぁ、今準備してくるから先に入っていろ」
彼女は今フリーザ様と結婚している。
フリーザ様の妻と入浴…
普通ならあり得ない事だろう。
初めて申し出を受けた時、もしあの時結婚していたのがベジータでなくフリーザ様だったら、何があっても抵抗していただろう。
しかしこのバスタイムに関しては男女のあれこれというものは一切ない。
彼女にとって私は、一人の男というよりはむしろ、芸術品という認識らしい。
私の髪や肌に触れ、手入れをしている彼女はとても幸せそうだ。
髪の一本一本を、肌の隅々までを慈しみ愛でるように触れてくる。
私はこの時間が、何よりも幸せだ。
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作者名:piace | 作成日時:2018年5月7日 22時