【◇A】青心寮在住の引きこもり。【逆ハー】 (ページ10)

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BALL9 ページ10

かぽーん…とゆったり湯につかる。
相変わらず青心寮のお風呂は大きく、心がぽかぽか休まる。

ゴキブリが部屋に出た時はどうしたことかと頭を抱えたが、案外いい一日になった。

Aも久しぶりに人と話して楽しめた。

元々人と話すのは嫌いじゃない。
好きな方だ。

でも、あることをきっかけにAは学校に行かなくなった。
同時に、他人と関わりを持ちたがろうとしなくなった。

本当はこんな自分嫌いだ。
前の自分の方が好きなのは、自分でもよく分かっている。

それを元に戻せないのが高校生の未熟な心。

だが、今日一日で随分自分らしい自分として話が出来た気がする。

高島の狙いは、Aの他人へのコミュニケーション能力回復もあるだろう。
おそらく一番はと聞かれたら、野球指導と答えるが。

少しぽわぽわした頭で、今日名前を覚えた人たちを思い出す。

｢御幸倉持…栄純降谷に春市。小湊先輩と結城先輩、あと伊佐敷先輩もか。
それと増子先輩でしょー…金丸ノリとうじょー…あ、あとクリス先輩ねクリス先輩。｣

結構な人数を覚えたものだ。

みんな顔に特徴があるから、案外すぐ覚えられそう。
人気者のせいか、人の名前を覚えるのは昔から割と早い方である。

そんなことを考えているうちに、だんだん顔が熱くなってきた。
このままだとのぼせてしまう。

ﾊﾞｼｬｧｯ…と湯船から上がって、シャワーを一浴びしてからお風呂場を出る。

｢…楽しかった、なんて。｣

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