BALL32 ページ33
Aは、
ひたむきに頑張っている沢村や降谷、小湊に金丸なんかの一年、
御幸にも負けないくらいカッコイイ同級生の二年、
華の高校生活を野球に捧げたどこまでも男前な三年
のことを思い出しながら、少年に話した。
｢みんなかっこいいんだけどね。例を挙げるなら、二遊間かなー…。｣
｢ショートとセカンドですか？｣
｢そう。ピッチャーも大好きだし、サードもファーストも、もちろん外野だって大事だよ？｣
｢俺はピッチャーとキャッチャーが大事だと思います。｣
｢ごもっとも。でもさ、あの距離でピッチャーに声をかけられるのも、あの距離で早いボールを待つのも。
全部全部すごいと思わない？野球好きじゃなきゃ出来ないこと。｣
｢…まぁ確かに。｣
｢っしょ。君、どこのポジなの？｣
｢ピッチャーです。｣
｢じゃ支えられてるーってスゲェ実感すんでしょ。｣
そう言ってにひっ…と笑う。
御幸が嫌いでそう言ってるんじゃない。
野球はみんながみんなかっこいいんだという話だ。
たまたま二遊間を例にしたが、セカンドとファーストのカバーをしているライトや、ホームランを打たれた時に大事なセンター。
全部全部、大好きなポジションだし、大事なポジション。
野球は個人戦じゃない、一人一人の団体戦である。
珍しく語って熱くなってしまい、照れながらはにかむ。
これじゃまるで自分が野球部を愛してるみたいだ。
じわじわ熱くなる顔に照れていると、突然ﾍﾟｼｯ…とノートのようなもので頭を叩かれる。
外に出てきた男の子の｢御幸一也さん！！｣という輝かしい声が聞こえた。
嫌な予感がして 叩かれたものを退ける。
そこには、少し顔を染めてにやけを抑えている御幸と、｢くくっ…｣と顔を真っ赤にして笑っている倉持、それに顔を真っ赤にした小湊が居た。
｢…聞いてたの。｣
倉｢いやっ…？聞いてねぇよっ…ぶはっ…｣
ぶわぁっ…とさらに熱を帯びる顔。
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