BALL21 ページ22
本当に、何故Aの未来がこの人達によって左右されなきゃいけないのか。
ご飯をぱくぱく食べながら、｢…ほんとになんでだよ。｣と思う。
もぐっ…と食べながら二人と喋っていると、後ろの席にいた降谷が｢先輩｣とAに話しかけてくる。
あまり喋らないタイプの子だと思っていたが、案外喋る子らしい。
くんくんっ…と犬のようにAに顔を近づける降谷。
｢？｣と不思議に思う。
｢どうかした？｣
降｢なんか今日いつもと違う匂いします。｣
｢犬かよ。香水つけてんの。…そんな似合わない？｣
降｢いや、そういう訳じゃないです。いつもの先輩の匂いと違うから。｣
沢｢先輩がっ…香水…？！あのむさ苦しい部室にも容赦なく入りそうな先輩がっ…！！｣
｢…ふん、言ったな。私がいつの間にか彼氏作ってお泊まりしても文句言うなよ。｣
沢｢そっ、それはダメですよ！！ていうかお泊まり？！｣
｢べーだ。｣
倉｢まず学校行くとこからだろ。｣
｢ばれたか。｣
亮｢でも分かんないんじゃない？
この中から彼氏出来たらいつでもお泊まり、でしょ。｣
沢村がついつい可愛くていじめてしまったが、倉持に核心をつかれてしまう。
そもそも学校に行っていないAが、どうやって好きになって付き合うのだ。
…そんなふうに思っていたが、亮介の意見にも一理ある。
ここの中で彼氏を作れば、学校に行かずとも幸せな青春が待ち構えている。
何故なら彼らは、強豪野球部員という肩書きを既に持っているから。
それだけでも十分すぎる青春力だ。
｢はぁいAちゃんの彼氏候補さん手ぇ上げろ♡｣
｢…｣
｢……｣
｢…｣
｢誰か一人くらい手ぇあげろや。｣
…案外無さそうである。
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