19:最悪な道標 ページ23
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安吾の捜索を開始してから、早数日。
事態は刻一刻と悪化してきていた。
事態の悪化の要因は三つ。
一つ、横浜に"ミミック"という欧州の組織が流れて来た事。
二つ、ミミックが私達ポートマフィアを攻撃してきている事。
そして、三つ。
安吾が、ミミックのスパイである可能性が出てきた事。
昨夜、私と織田作で安吾の仮の自宅であるホテルを訪ね調べた処、白い小さな金庫を見つけた。
其処で待ち伏せされていたミミックの一人に狙撃されたのだが織田作の未来予知の異能により危機一髪で回避し、そのミミックを追った。
路地裏で狙撃手を見つけ暫し時間を削ってから治が部下と共に到着し、そしてミミックの狙撃手は射殺された。
其処までは良いのだ。
然し、その先がいけなかった。
器用な治が針金ピンを使って白い金庫の鍵を開け、中身を確認した。
其処には、灰色の旧式拳銃が一
この旧式拳銃は、唯の拳銃では無い。
ミミックにとって、自分達が何者であるか示す為の
何故、其の様なものが安吾の部屋に有ったのか。
私の予想は、最悪な
治も、織田作も、信じたく無いものだろう。
私はマフィアの地下に有る拷問部屋へと続く道を進み乍ら、思考を続ける。
先刻、治から『捕らえたミミックの兵の拷問を手伝って欲しい』と連絡が来た。
治なら一人で簡単に情報を吐かせられるが、私の異能でやる方が簡単だから呼んだのだろう。
私の異能、『高瀬舟』は触れた相手の仲間や家族への劣等感、罪悪感を増加させ、自 殺させる事が出来る。
ただ自 殺させるだけで無く、自 殺する迄の一定時間相手を操作し、懺悔と共に情報を吐かせる事も可能。
相手の苦しむ姿など見たくも無い私は、この異能が嫌いだ。
だが、ポートマフィアではこの異能は便利とされる。
今回の様に情報が必要な時は、特に。
階段を降りて行くと、もう嗅ぎ慣れた血の匂いがした。
黒服達がヒールの音に反応し、此方を見るやいなや彼等は慌てて跪こうと膝を曲げた。
『そんな風に私を貴族みたいに偉く扱わないでと何度も云って居るでしょう。
普段通りで良いのよ』
私は苦笑して彼等を手で制止し、奥で死んだミミック兵達を光の映らぬ目で眺める治の背に声を掛けた。
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団子 - 面白いです!続きが気になります!頑張って下さい! (2017年11月10日 18時) (レス) id: 565b1876f3 (このIDを非表示/違反報告)
味の素(プロフ) - 更新がんばってくださ〜い (2017年9月6日 17時) (レス) id: d5befd4dfc (このIDを非表示/違反報告)
R - めっちゃ面白い!続き期待ー!更新がんばれ! (2017年8月19日 2時) (レス) id: 0a6b6d9361 (このIDを非表示/違反報告)
藤(プロフ) - 鑓さん» この話は『もしも』と私の『想像』の話ですので、原作とは別として考えて頂きたいです。もし原作で太宰さんを勧誘した人が出てきた場合も、別の話として読んで頂ければ幸いです。もし気分を害されたのならば申し訳有りません… (2017年2月14日 6時) (レス) id: c90b0030f9 (このIDを非表示/違反報告)
鑓 - あの、原作に太宰さんをマフィアに勧誘した人が出てきたらどうするんですか?まだ出てきませんが原作ではAの他にもう一人幹部がいる、という設定になってるので勧誘した人が出てくる可能性はそれなりに高いと思うんですけど。 (2017年2月14日 1時) (レス) id: afa2739a1f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藤 | 作成日時:2016年10月28日 10時